前作『家庭』から9年後。
アントワーヌ・ドワネル役のジャン=ピエール・レオーも30代半ばとなった、1979年の作品です。
(だいぶオジサンに…笑…。)
『大人は判ってくれない』の主人公アントワーヌ・ドワネル・シリーズの最後、「総集編」といった感じで、前作までのいろんな場面(映画のフィルム)が、とても巧くストーリーに組み込まれています。
回想シーンなど、全作観ていれば余計にリアリティがあり、ホロリとしたり、ニヤリとしたり・・・。
ドワネル・シリーズに出ていた女優さんの出演も楽しめます。
『アントワーヌとコレット』のマリー=フランス・ピジェや、『家庭』のクロード・ジャド。
ダニという超個性的な女優さんは『アメリカの夜』から合流。
『大人は判ってくれない』で、母親と恋人とのキスを街中で目撃したアントワーヌでしたが・・・
本作ではその男性(俳優さんは変わっています。)とともに母親のお墓参り。
…などなど、いろいろと。
この映画、トリュフォー自身は「ちょっと薄っぺらだ…」と自己批判なさってるみたいですが、とても面白くて私は好きです。
果たしてハッピーなのか、アンハッピーなのか? ヒネリの効いたエンディングもとてもいい。
アントワーヌの恋人サヴィーヌ役は、ドロテーというとっても可愛らしい女優さん!
アントワーヌは、なぜいつもこんなキュートな女性に(とりあえずは)愛されてしまうのか?
これはもう、トリュフォーの妄想世界ですね(笑)。
(…いや、現実なんだ。トリュフォーはモテたにちがいないから。そして、「苦さ」も・・・)
大人になりきれない、いつまでたっても少年のような男のひとって、確かにチャーミングです。
(でも、一緒に暮らすのはなかなかたいへんですけどね・・・苦笑)
<ドワネル・シリーズとは・・・>
トリュフォーの処女長編、『大人は判ってくれない』の主人公「アントワーヌ・ドワネル」のその後です。
「ジャン=ピエール・レオー」主演。本人と、映画の主人公「アントワーヌ・ドワネル」の成長がシンクロするという、世界でも類を見ない試みの作品群です。
『大人は判ってくれない』(1959)
『アントワーヌとコレット』(1962)
『夜霧の恋人たち』(1968)
『家庭』(1970)
『逃去る恋』(本作)(1979)