まず最初に。この巻に収録の第30話でティファを宇宙へ連れ去るニコラというキャラの声をアテているのは、『00』で「おやっさん」ことイアン・ヴァスティの声を担当していた梅津さんです。セルゲイ役の石塚さんがアイムザットの声をアテていただけではなかったのですね。それにしてもシブいとこでつながってるなあ。
ここに収録されている第31話「飛べ、ガロード!」が、『GX』全39話中自分的に一番印象に残っているエピソードで。さらわれたティファを追って宇宙に上がろうとするガロードと、それを全力で手助けしようとするフリーデンの仲間達。それがシャトルの発進を阻止しようとする連邦の移動要塞にフリーデンごと体当たりをかます、という分かりやすい表現で描かれているのだが。ここに『GX』という作品の本質があると思う。「愛する相手をひた向きに、一途に追い求める気持ちこそが閉塞した状況を打破していく」という。ちょっと間違えばストーカー的に映りかねない話だが、ここに至るまでにティファとガロードの「分かり合う」プロセスや、フリーデンの仲間との絆の構築を丁寧に描いているからこそ、観ているこっちが素直に感情移入できるんだな、と。
ここまで書いてきて、これと似たような話をどこかで…と思い出したのが、坂本真綾の「マメシバ」である。
マクロスシリーズの河森正治が手掛けた『地球少女アルジュナ』のテーマソングであるこの曲には、「環境保護という大きな問題を打開するには、少女が好きな相手を守りたいという気持ちから出発するのがいいのでは…」という思いが込められていると言う。これって、上に書いたガロードの行動パターンと同じじゃないのか?、と。
ガロード・ランという名前が「我が道を走る=我Road・Run」を意味することは『GX』ファンならご存知だろうが、「マメシバ」のPVでの坂本真綾も迷子になった愛犬(?)を探し求めて、ただひたすらに走り続ける…雨が降っても嵐が吹いても。
いや、最近ガロードと真希波マリって本質的に同じキャラだよな、と思ったもんだから。『GX』にもエヴァの新劇にも、旧エヴァに対する批評性が感じられるし、その核となるのが「ガロード・ラン」と「真希波マリ」ではないかと。