受験戦争と呼ばれる日本の高校生と同じく、アメリカのティーンがカレッジへの推薦を受けるときにはSATという全国共通試験(TOEFLやTOEICと同じ研究所が作成する)で高スコアをマークしなければならない。其々の理由で必要なスコアを得られなかった6人が、大胆にもプリンストンの研究所にその答案を盗みに入ろうという計画をめぐる、いわゆるティーンエイジ・ムービー。監督ブライアン・ロビンスは主にテレビ・ドラマを中心に活躍する俳優でもあり、ほかに原作、脚本、プロデュースなどマルチに活躍するヒト。彼の言うとおりCMライクな(もしくはプロダクションのMTVライクな)映像に仕上がる。 当作は邦題をなぜか「スカーレット・ヨハンソン」の百点満点大作戦 とするが「トラフィック」のエリカ・クリスチャンセンやNBA,LAクリッパーズの若きスパースター、ダライアス・マイルズとともに彼女は主役ではなく、あくまでサポーティング・アクトレス。主役は「Not Another Teen Movie」のクリス・エバンスと殆ど新人のブライアン・ゴールドバーグの二人。若き頃のトム・クルーズを少し髣髴させる風貌にジミー・ディーン的な憂いをたたえたエバンスは、この後サスペンス・スリラー「セルラー」やふたたび青春ものの「ファンタスティック・フォー」でスターダムへと邁進中。 件のヨハンソンは当作での演技をクリスチャンセンとともにあまりに一面的なステレオタイプと揶揄されるが、本来こういった映画はクリシェとステレオタイプをいかにティーンたちの期待通りに可笑しく見せるかが勝負であり、彼女らは十分その期待に堪えるプロフェッショナルな演技を見せる。 ただしヨハンソンの登場シーンや、6人が一同に会して激しく台詞が飛び交うなか夫々が夢想するシーンなどそれなりに見所の多い前半に較べ、実際に研究所へ忍び込むアクションが中心の後半の演出に迫力不足を感じる。