「ゾッキ」=“寄せ集め”のエピソードが醸し出す、おかしみとペーソス

「ゾッキ」=“寄せ集め”のエピソードが醸し出す、おかしみとペーソス

「ゾッキ」=“寄せ集め”のエピソードが醸し出す、おかしみとペーソス

竹中直人×山田孝之×齊藤工の共同監督による映画『ゾッキ』のDVDが9月25日(土)にリリースされる。吉岡里帆、鈴木福、松田龍平、松井玲奈、石坂浩二、倖田來未、竹原ピストルなどバラエティーに富んだ個性豊かなキャスト陣が集結し、さらに主題歌&音楽監督はCharaが務める。

寄せ集めるという意味が込められたタイトル

物語が始まるのに、確たるきっかけなんていらない。取り立てて特徴のない男が、寝袋ひとつを荷台にくくりつけた自転車にまたがって南をめざした瞬間から、そのシークエンスはもうロードムービーとして成立している。あるいは友達のいなかった高校生が、ふとしたことを機に同級生と意気投合したその時から、奇妙な友情譚はすでに紡がれているのだ。

一見、関連のないように見えるいくつかのエピソードが時系列とともに、巧みにつながれた一篇であることがわかってくるにつれ、「ゾッキ」=寄せ集めるという意味が込められたタイトルに膝を打つ。

吉岡里帆演じる出戻りのやさぐれ女子が、画面に向かって牛乳を噴き出すのを合図に本篇は始まるが、とにかく一筋縄では進まない。が、その不条理によって〝おかしみ〟とペーソスがらせん状に練り込まれ、思いもよらぬ人間模様の深みへと見る者をいざなってくれるのだ。喜劇にしてエレジー。日常が舞台でありながら、どこか非日常的。相反する要素を内包しながら、複数のエピソードはやがて交差し、地続きのストーリーとして昇華されていく。

竹中直人×山田孝之×齊藤工によるエピソードが一本の映画へ

原作は、孤高の漫画家として人気を博している大橋裕之の幻の初期作品集。そこはかとなくおかしく、かつ哀愁漂う人々が過ごす日々を、竹中直人、山田孝之、齊藤工の3人が共同監督というスクラム態勢で映し出す。いわゆるオムニバス作品と違うのは、先述したように個々のエピソードが一本の映画へと帰結していくということ。アプローチは三者三様でありながら、あらかじめ計算されたかのように点と点が結ばれて、編集が織りなされていくさまは見事というほかない。いい意味で「ゾッキ」の名にふさわしい仕上がりだと言って、差し支えないだろう。

際立つ役者陣の芝居

そして何より、役者陣の芝居が実に味わい深い。アテがないことをアテにして旅に出る藤村役の松田龍平の所在のなさ。初めてできた友達から、実在しない自分の姉に恋をしたと告白されて以降、幸せな嘘をつき続ける牧田役の森優作がのぞかせる葛藤。日々、客のほとんど来ないレンタルビデオ店で、ひとりバイトに勤しむ伊藤少年役の鈴木福の苛立ち。列挙していくだけで埋まってしまうので割愛するが、後半に登場する竹原ピストルの存在感が際立っていることは、特筆しておきたい。

どこか牧歌的なランドスケープが広がる愛知県の蒲郡市で全篇ロケを行っているからか、あたかも時がゆっくりと流れているような錯覚にも陥る。秋の夜長、どことなく現代のおとぎ話のような不思議な余韻に浸るというのも、オツなものだろう。

文=平田真人 制作=キネマ旬報社(キネマ旬報10月上旬号より転載)

「ゾッキ」

●9月25日(土)DVDリリース(10月6日(水)レンタル開始)
DVDの詳細情報はこちら

●価格:4,180円(税込)
●特典
【音声特典】
・オーディオ・コメンタリーA:竹中直人監督×山田孝之監督×齊藤工監督
・オーディオ・コメンタリーB:川端基夫(プロデューサー)×坂上也寸志(ラインプロデューサー)×副島宏司(助監督)×本図木綿子(スクリプター)×箕輪博之(監督助手)
【映像特典】
・イベント集
・予告篇集
・キャスト&スタッフ プロフィール(静止画)
・プロダクションノート(静止画
セルDVDに3監督の直筆サイン入り台本が抽選で当たる、プレゼントキャンペーン応募ハガキ封入
●オンラインストア限定商品
GAGA★ONLINE STORE限定にてリバーシブル仕様のジャケットデザインDVD同時リリース

●2021年・日本・カラー・本篇113分+特典映像
●監督/竹中直人、山田孝之、齊藤工 原作/大橋裕之 脚本/倉持裕 音楽監督/Chara
●出演/吉岡里帆、鈴木福、満島真之介、柳ゆり菜、南沙良、安藤政信、ピエール瀧、森優作、九条ジョー(コウテイ)、木竜麻生、倖田來未、竹原ピストル、潤浩、松井玲奈、渡辺佑太朗、石坂浩二(特別出演)、松田龍平、國村隼
●発売・販売元:ギャガ
©2020「ゾッキ」製作委員会 ©Hiroyuki Ohashi/KANZEN 2017

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