2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。
衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)
第14回「冠に名前が来る人」
どうも、みうらじゅんと申します。「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ -民俗学-」。今回のテーマは冠に名前が来る人、例えば洋画の邦題「ブルース・ウィリスの」と【の】がつく作品ってあるでしょ。今回は名前を頭につけたタイトルを4作品紹介したいと思います。
『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』、『一条さゆり 濡れた欲情』、『美加マドカ 指を濡らす女』、『田口ゆかり ザ・ケイレン』の4本をお送りしたいと思います。
その時、股間がうずいた…。今宵の教材は、『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』。男心を刺激する、真夜中のファンタジスタ。神のみぞ知る、魅惑の性癖にせまる。普通の女に飽きたとき、冒険したい夜もある。その瞬間新たな歴史がはじまる。
今回紹介する作品は、『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』。1974年の作品なんですけども、若い方の中には、ピンとこない人も多いと思います。いや、若い方がこの番組を観てらっしゃるなんて考えられないので、あくまで、おさらいで。カルーセル麻紀さんについてです。
■カルーセル麻紀から学ぶ女子力UP攻略法
こういう方ですね。まあ別に、絵にすることもないんですけども。マキと言えばカルーセル麻紀、または「じゅわいよ・くちゅーるマキ」という時代がありました。70年代に僕が記憶している限りでは、モロッコという国で、性転換をされたと聞いております。そんなカルーセル麻紀さんに憧れた方も多かったと思います。コレ、私物なんですが、(カルーセル麻紀のレコード「南京町から」を出す)、とうとう手に入れたんですよね。
好きだったんですよ。カルーセル麻紀さんのルックスが。一時期、僕も女装にハマってまして。「クイーン」って専門誌を買ってみたんですが、カルーセル麻紀さんがどんだけ美しいのかよく分かりました。若い頃に、ひょっとして自分は女性的なところが強いんじゃないかって思ってたんですが、女装をしてみて、全くそのセンスの無さにガッカリしました。結局、僕は本格的な女装癖があったわけではなくて、70年代初頭のグラムロックに憧れていただけでした。その頃、デヴィッド・ボウイやミック・ジャガーもそうでしたけど、そういうブームがあったんです。そのグラムロックと勘違いしてたんですよね。
僕と「空耳アワー」でおなじみの安斎肇さんと、いとうせいこうさんとで組んだ「バギナーズ」って女装ユニットなんかもやりましたけど、やっぱりファッションだけで、根にそのセンスがないというところで、コンプレックスがありましたね。のちに、本格的な人にお会いした時に「あなたはがんばっているけど違うのがすぐに分かるわよ」って言われました。
今回紹介する『夜は私を濡らす』とは、どんな映画なんでしょうか。観てもらえば分かるんですけども、「オトナってなんだ?」っていう疑問ですよね。カルーセルさんが歌手としてデビューするストーリーになっているんですけども、そこに出てくる作詞家の先生っていうのが…。(イラストを出す)。
銀座のバーみたいなところで、こうなんかブランデーとかを飲んでいる、作詞家の先生みたいな人が出てきます。これで、こういう人を当時オトナだなって、なんか汚いなあって思って観てました。「あのコ、なかなかいいじゃないか?」ってそういうことを言うんです。大概グラデのついたサングラスを付けていて、ちょっと襟足が長いんですよね。自家用のクルーザーを持っていて、縞模様のスーツを着ている場合が多いですよね。それで、ホステスさんから「先生ステキ」って言われている人の毒牙っていうのですかね、カルーセルさんが純情な故に、ハマっていってしまう。
これは僕は、やっぱりもう一度、仏教を見直すべきじゃないかと思う映画だと思いましたね。皆さんも心して「オトナって何なんだ、自分は大人に本当になりたいのか?」っていうことを心にちょっと思いながら見ていただくといいんじゃないかと思います。
それでは、
『カルーセル麻紀 夜は私を濡らす』(1974年)
『一条さゆり 濡れた欲情』(1972年)
一条さゆりさんという方は当時、有名なストリッパーの方でした。
『美加マドカ 指を濡らす女』(1984)
美加マドカさんは80年代の有名なストリッパー。ストリップ界のスーパーアイドルとして、LPレコードも出されており、僕も持っております。
『田口ゆかり ザ・ケイレン』(1986)
この方も有名なストリップの方で、裏ビデオ界、裏本界の女王とも言われていた人です。
※各作品はamazon、FANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です
それでは、あなたもグレイト余生を!
■2021年06月 TV放送情報
日活ロマンポルノの作品を各衛星・ケーブル放送等にて放送中。
2021年6月は下記の作品が放送されます(変更の可能性もございます)
【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)
・『白い指の戯れ』
・『看護女子寮 いじわるな指』
・『看護婦日記 いたずらな指』
・『OLハンター 女泣かせの指』
〔日活ロマンポルノ傑作選~団鬼六と女王たち~〕
・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壺』
・『団鬼六 女美容師縄飼育』
・『団鬼六 縄責め』
・『団鬼六 美教師地獄責め』
【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方)
・『看護婦日記 いたずらな指』(R-15版)
・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壷』(R-15版)
・『団鬼六 薔薇地獄』(R-15版)
あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯96」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集!
■2021年07月 TV放送情報
【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)
・『OL日記 密猟』
・『白い指の戯れ』
・『看護女子寮 いじわるな指』
・『看護婦日記 いたずらな指』
・『OLハンター 女泣かせの指』
・『若妻日記 悶える』
・『宇能鴻一郎の浮気日記』
・『OL官能日記 あァ!私の中で』
【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方)
・『OL日記 密猟』(R-15版)
・『看護婦日記 いたずらな指』(R-15版)
・『団鬼六「黒い鬼火」より 貴婦人縛り壷』(R-15版)
あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯98」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集!
【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。
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