第18回「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」
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- 2021年09月03日
2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。
衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)
■2013年7月放送 「SF」
どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ」民俗学入門。今回は、SF特集で、4本お送りします。SFってそもそもなんでしょう?サイエンス・フィクションですよね。でも、実はこの4本全くSFの要素はありませんので、あしからず。でも、このタイトルはどうでしょう? 何か不思議なことが起こるっていることは間違いないです。その代表作、『三次元透視 SEXウルトラ・アイ』。さあこれを、真剣な顔をして見れるかどうか? あなたの度量がかかっているということです。(笑)
その時、股間がうずいた…。今宵の教材は、時代を先どる絶頂アイテム『三次元透視 SEXウルトラアイ』。先人たちが残した、近未来予想図。未来のヴァーチャル・オーガズムを体感せよ!エロと科学が出会うとき、その瞬間新たな歴史がはじまる。
チャックを下ろそうとした方、大丈夫でしょうか?(笑)。 『三次元透視 SEXウルトラ・アイ』。どんな映画なんでしょう? このポスターを見ていただければ、だいたいわかりますよね。このウルトラ・アイを使うと透視できるってことです。SEXウルトラ・アイという機械は、どういうものであるかっていうことをちょっと分析してみたいと思います。
民俗学入門 あっと言う間に透けるとん 『三次元透視 SEXウルトラ・アイ』
これが映画に出てくるウルトラ・アイの機械ですよね。何回もビデオ止めて描いてみたんですけども、どう見ても、こうしか分かりませんでした。
これが映画に出てくるウルトラ・アイの機械ですよね。何回もビデオ止めて描いてみたんですけども、どう見ても、こうしか分かりませんでした。
この赤い部分が、どうやら3次元透視の鍵なんですね。ここは映らなかったけど、きっとグリップの所、滑り止めがついていると思います。裏から見ると、多分こうなってるんだと思います。こうやって両眼で見ると、服が透けて見えるということです。
ちょっと想像して、その構造を描いてみたんですけど、こういうことですよね。
ここに服を着た女性がウルトラ・アイではこう写るわけです。この赤い部分にIC が埋め込まれていて、どういう機械なのか未だにわかんないけど、着衣だけが上手くとれるのです。それがスポーンと2つに別れて、ジュッと見ている人がヌードがみれるという。やはりSFですよね(笑)。
この機械、冒頭の10分くらいはよく出てきますけど、後半はほとんど出ませんので、気を付けて下さい。この映画は『三次元透視 SEXウルトラ・アイ』と言ってる割には、目立つのは女優じゃなくて、この三人のオヤジであるということです。この三人のオヤジが主演と言っていいでしょう。
こういう顔した(左手のキャラクターを指す)穴野助平って言うとんでもない産婦人科のオヤジで、どうやら電話番号は84-19(ハヨイク)で覚えるということですね。この蝶ネクタイのおっさんと、黄色いカーデガンのおっさんが、いやらしい話をしながら物語が進むんです。
そして、この3人が映画で教えようとしていたことを書き出してみました。
1. 足首が細い女
2.口元にホクロがある女
3. ドテ高の女
それが、「サイコー」って言うのです。ということで、三次元透視はほんの数分しかでてこない、実はやらしいオヤジのエロ話だったということでございます。
性の未来を考えるロマンポルノSF大全
次の作品、『桃子夫人の冒険』。主演は、日向明子さん。この方は冷凍でずっと冬眠していた設定です。眠っている間に、グチャグチャと色んなことがおこるっていう、別にSFでもなんでもない話です(笑)。
『看護婦日記 獣じみた午後』。これは、夢で見たことが映像になるというのを発明する話がでてきます。1982年ですから、たぶん『エルム街の悪夢』(1984年製作 ウェス・クレイブン監督作)はこの作品に影響を受けたのでしょう(笑)。
次は、『タイムアバンチュール 絶頂5秒前』。 先日、『ミッション:8ミニッツ』(2011年製作 ダンカン・ジョーンズ監督)って映画を見たんですけど、何秒かだけタイムスリップできるという作品でした。同じコンセプトですよね。絶頂をむかえる何秒か前にタイムスリップするんですよね。「ここはどこだ?」って言って。どうみても歩道橋の上から撮影している映像が映っています。タイムトラベルものですよね。それをエクスタシーと共に迎えることができる人の話でございます。
ということで、この4本はSF というテーマ?でお楽しみください
河井憂樹さん主演、1984年製作
『桃子夫人の冒険』
日向明子さん主演、1979年製作
風間舞子さん主演 1982年製作
田中こずえさん主演 1986年製作
※各作品はamazon、FANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。
4本をご覧くだいさませ。それではあなたも、グレイト余生を!
出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活
■2021年09月 TV放送情報
【衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)
・『(本)噂のストリッパー』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集)
・『昼下りの情事 噂の看護婦』
・『女教師 汚れた噂』
・『噂の女 朝まで抱いて』
・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』
・『色暦大奥秘話』
・『色暦大奥秘話 刺青百人競べ』
・『続・色暦大奥秘話 淫の舞』
【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方)
・『(本)噂のストリッパー』(R-15版)
・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』(R-15版)
・『OL日記 密猟』(R-15版)
あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯99」、「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯100」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集!
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから