【第19回】「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」

 2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。

 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)

■2013年8月放送 オカルト・ホラー

どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ-民俗学入門−」。今回は、とても勉強になる回だと思います。「オカルトSEX」ということについて、講義したいと思います。

その時、股間がうずいた。今宵の教材は、摩訶不思議な官能の世界。『セミドキュメント オカルトSEX』。神秘と隠微が入り交じる超常現象。未だ解き明かされない謎のSEX FILE。パンドラの箱を開けた時。男の秘境がそそり立つ。その瞬間新たな歴史がはじまる。

今回、紹介する作品は『セミドキュメント オカルトSEX』、いったいどんな作品なのでしょう。1974年製作ということで、ピンと来た方も多かったと思います。当然、あの方のことでしょうね。この頃に、ウィリアム・フリードキン監督の『エクソシスト』(1973年製作 第46回アカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞)が公開されて、世界的にオカルトブームが来ました。その時に撮られた作品が本作ですね。監督は当然、山本晋也監督(笑)!当然ですよね!脚本も山本晋也監督!当然ですよね! 

「セミ」っていう言葉も当時流行りましたね。「セミ・ヌード」と言って、ちょっとだけ脱いでるとか、そういうことす。ミーンミーンって鳴く方じゃないですよ。ちょっとだけドキュメント要素が入っているということで、本編見てもらうとわかると思いますけども、ちっともドキュメントじゃありません。(笑)

オカルトSEXとはなんでしょう?まず、講義する前に知らなくては、ならないのは1973年頃にユリ・ゲラーが来日したことです。

お茶の間が沸いたユリ・ゲラーとテレパシーブーム

当時ですね、日本テレビの「11PM」にも出演されて、大ブームとなりました。その、ユリ・ゲラーさんがスプーンをバンバン曲げていかれて、とても調理関係の人が困るという事件が起こりました。曲げるのは良いけれど、最終的に先まで折るということで、「この人、一体何しているんだろう」と当時、僕は思いましたね(笑)。曲げるだけではなく、折っていくということで、「テレビの前のみなさんもできますよ」って伝えて、視聴者の方が「曲がった」なんて言って、テレビ局に反響がバンバン入ったり。ユリ・ゲラーが念力を送って、止まった時計が動き出したなんていうこともありましたけど、真偽のほどはどうだったんでしょう?僕も当時見てましたけど、ちっとも不思議なことは起こりませんでした。世の中には不思議なことが起こる人と、起こらない人がいるっていうことです。それをユリ・ゲラーさんが教えてくれました。

その後に、ユリ・ゲラーさんはルームランナーという健康器具の宣伝に出らたりして、なかなかの商売人でした。その大ブームを受けて、『セミドキュメント オカルトSEX』が撮られたということですよね。

自然に右手が動き出す世にも淫らなオカルトの世界

ユリ・ゲラーは「テレパシー」なんですけど、この作品では「ポルノパシー」という言葉がでてきます。映画見ながら書き起こしてみたんですけど

「性波を送る超能力現象。通常、ポルノパシーは性器内で、その不思議な現象が起こり、現代の科学が探り得ない未知の能力」だそうです。

この作品、オープニングで驚かされるシーンがでてきます。プッシー・トークのシーンでございます。このシーン、驚きました。「私のこと無視して、お尻のほうへ進もうとしたわ。」とか言ってこれが抗議していくっていうことから、物語が始まるんですよね。うーん、よく分んないでしょ(笑)。

この映画の中で何シーンも、何ていうんですかね、シュールなシーンがでてきます。このイラストを映画を観ながら描いたんですけど、現代美術だということが、よくわかりますよね。こういう不思議なトリップしたような世界観が何回もでてきます。

それと、この映画で最も重要なのは、ホテル目黒エンペラーが出てくるってことです。これ民俗学的には重要で、お城のような外観のラブホテルが映ります。内装も映りますよ。これ民俗学的には、とても貴重です!

そして、この映画で一番の名言は「ボール・キック たまける」ってことです…。まっこんな事ですよね。『セミドキュメント オカルトSEX』十分にお楽しみくださいませ。

今月の4作品を紹介したいと思います。

セミドキュメント オカルトSEX

当然、山本晋也監督ということで、ワクワクして観てください。

色情妻 肉の誘惑

1976年製作。SM好きの方はぜひとも、御覧くださいませ。

処女のはらわた

1986年製作、監督はガイラさん。この頃はイラストチックのポスターで、スプラッターチックな作品でございます。

美女のはらわた

1986年製作、またもガイラさんの監督作でございます。すごい作品でございますけども、「はらわた」ということは『死霊のはらわた』などが公開された頃なんでしょうか?しっかりした映像美をお楽しみ下さい。

※各作品はamazon、FANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です。

それではあなたもグレイト余生を!

 

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活

■2021年09月 TV放送情報

衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)・『(本)噂のストリッパー』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集)
・『昼下りの情事 噂の看護婦
・『女教師 汚れた噂
・『噂の女 朝まで抱いて
・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻
・『色暦大奥秘話
・『色暦大奥秘話 刺青百人競べ
・『続・色暦大奥秘話 淫の舞

【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方)
・『(本)噂のストリッパー』(R-15版)
・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』(R-15版)
・『OL日記 密猟』(R-15版)

■2021年 10月 TV放送情報

衛星劇場】(スカパー!219ch以外でご視聴の方)
・『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集)
・『(本)噂のストリッパー』(【森田芳光70祭】監督・森田芳光特集)
・『痴漢通勤バス
・『好色美容師 肉体の報酬
・『(秘)肉体調教師
・『昼下りの情事 噂の看護婦
・『女教師 汚れた噂
・『噂の女 朝まで抱いて

【衛星劇場】(スカパー!219chでご視聴の方)
・『(本)噂のストリッパー』(R-15版)
・『ピンクカット 太く愛して深く愛して』(R-15版)
・『大奥秘話 晴姿姫ごと絵巻』(R-15版)

 あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯99」「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯100」を放送!


※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集

【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから
 
 
 
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