ロマンポルノ50周年 特集上映企画 「私たちの好きなロマンポルノ」 実施決定!
- 日活ロマンポルノ50周年 , あの頃のロマンポルノ
- 2021年09月17日
今年、50周年を迎える日括ロマンポルノの50周年記念プロジェクトの一環として、特集上映「私たちの好きなロマンポルノ」が決定し、公式サイトにて情報が公開された。
本特集上映は、映画監督・俳優・作家・ミュージシャンなど国内外問わず50名以上の有識者たちが太鼓判を押すロマンポルノのクラシック作品を選び上映するといったもので、50周年を迎える11月20日(土)より、シネマヴェーラ渋谷を皮切りに全国で順次上映されることが発表された。
柄本佑、城定秀夫、ジム・オルーク、渡辺大知らが太鼓判!
作品の選者として柄本佑、城定秀夫、ジム・オルーク、渡辺大知らが参加。「誰よりも楽しみにしているのは私です」(柄本佑)、「自分が映画監督になりたいと思ったきっかけはロマンポルノとの出会い」(城定秀夫)、「肉体を越えた人と人との縁の物語」(渡辺大知)など期待を込めたコメントを寄せている。
上映作品は、ロマンポルノをまだ見たことがない人に向けて、まず見てほしい不朽の傑作群から、1980年以降の作品も多く組みこまれ、選者の思いが込められたラインナップとなっている。
〈日活スウェーデン・ポルノ〉も48年ぶりに蔵出し!
さらに、今回の目玉として、ロマンポルノ作品としては超異色となるスウェーデンロケ、セリフはスウェーデン語(日本語字幕付き)、出演者もスウェーデン人という『淫獣の宿』(1973/西村昭五郎監督)、『蜜のしたたり』(1973/加藤彰監督)のデジタル復元版の上映も決定した。これらの作品は、大型作品として当時、性の先進国というイメージのあったスウェーデンに精鋭スタッフを送り、長期ロケを敢行して製作された作品。
また「淫獣の宿」はスウェーデンの代表的映画監督である、イングマール・ベルイマンの作品から登場人物の名前がつけられるなど、映画史的にも本作品が観なおせる貴重な機会となっている。ぜひクラシック映画のファンにはチェックしていただきたい。
上映期間中はトークイベントも実施予定となっており、詳細は追ってロマンポルノ公式HP及びシネマヴェーラ渋谷のHPにて随時掲載予定なので、気になる方はぜひロマンポルノの公式サイトも定期的にチェックしていただきたい。
選者一覧(54名)
相澤虎之助(映画監督)、朝吹真理子(作家)、阿部和重(作家)、荒木啓子(PFFディレクター)、井口奈己(映画監督)、市山尚三(東京国際映画祭プログラミングディレクター)、入江悠(映画監督)、絵沢萠子(俳優)、柄本明(俳優)、柄本佑(俳優)、柄本時生(俳優)、岡田秀則(フィルムアーキビスト)、奥浜レイラ(パーソナリティ)、風祭ゆき(俳優)、片桐はいり(俳優)、片桐夕子(俳優)、上條葉月(字幕翻訳者)、川瀬陽太(俳優)、草野なつか(映画作家)、高良健吾(俳優)、小西康陽(ミュージシャン)、佐々木敦(思考家・作家)、塩田明彦(映画監督)、城定秀夫(映画監督)、白石和彌(映画監督)、白川和子(俳優)、瀬々敬久(映画監督)、園子温(映画監督)、田中真理(俳優)、谷ナオミ(俳優)、月永理絵(映画ライター)、寺島まゆみ(俳優)、富田克也(映画監督)、中田秀夫(映画監督)、中原昌也(ミュージシャン・作家)、濱口竜介(映画監督)、古澤健(映画監督)、松田広子(プロデューサー)、真魚八重子(映画ライター)、宮下順子(俳優)、三宅唱(映画監督)、森岡龍(俳優・映画監督)、行定勲(映画監督)、横浜聡子(映画監督)、ライムスター宇多丸(ラッパー・ラジオパーソナリティ)、渡辺大知(俳優・ミュージシャン)、クレモン・ロジェ(映画批評家)、ジム・オルーク(ミュージシャン)、ディミトリ・イアンニ(キノタヨ現代日本映画祭プログラマー・ロマンポルノ研究家)、パウロ・ブランコ(プロデューサー)、ホセ=ルイス・レボルディノス(サンセバスチャン映画祭ディレクター)、リチャード・ペーニャ(ニューヨーク映画祭名誉ディレクター・コロンビア大学教授)、内藤由美子(シネマヴェーラ渋谷支配人)
上映作品ラインナップ(38作品)
『赫い髪の女』『天使のはらわた 赤い教室』『黒薔薇昇天』『悶絶!! どんでん返し』『天使のはらわた 赤い淫画』『愛欲の罠』『牝猫たちの夜』『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・』『ピンクカット 太く愛して深く愛して』『狂った果実』『ラブホテル』『母娘監禁・牝』『セックス・ライダー 濡れたハイウェイ』『生贄夫人』『桃尻娘<ピンク・ヒップ・ガール>』『恋狂い』『㊙女郎市場』『愛に濡れたわたし』『美少女プロレス 失神10秒前』『ベッド・パートナー』『OL日記 濡れた札束』『絶頂姉妹 堕ちる』『ズーム・イン 暴行団地』『レイプハンター 通り魔』『バックが大好き!』『制服肉奴隷』『犯され志願』『闇に浮かぶ白い肌』『女教師は二度犯される』『女教師 汚れた噂』『のけぞる女』『愛欲の日々 エクスタシー』『性愛占星術 SEX味くらべ』『㊙色情めす市場』『未亡人下宿 初のり』『少女暴行事件 赤い靴』『淫獣の宿』『蜜のしたたり』
コメント
【上映にあたり】
内藤由美子(シネマヴェーラ渋谷・支配人)
日活ロマンポルノ誕生から半世紀経った今、映画好きにロマンポルノを観てもらうきっかけになればと、作家、音楽家、若手監督、映画祭キュレーターなどからリクエストを募り、誰もが心の中に大事なロマンポルノ作品を持っていることに改めて意を強くした。「”ポルノ”に抵抗がある人」、「巨匠作品は一応観ているが他は…」という人たちにこの特集を捧げる。世界的傑作に肩を並べる作品はもちろん、いま最も熱心にロマンポルノを観ている女性たちのセレクションを通じて、ニュー・クラシックやシュールでアナーキーな作品を発見して欲しい。「こんな作品があったのか!?」という驚きを劇場で体験してください!
★柄本佑 (俳優)
『未亡人下宿 初のり』
1978年/監督:山本晋也/脚本:山田勉/出演:橘雪子、楠木正通
僕の中では青春映画の金字塔として君臨する『未亡人下宿 初のり』!
上映が決まり、自分が山本晋也監督フリークだった時期に伊地智啓さんと未亡人下宿の話で盛り上がった時「山本晋也は天才だよなっ」とおっしゃられていた事を思い出します。実は劇場で観るのは初めて、、、誰よりも楽しみにしているのは私です。シネマヴェーラに感謝です!ありがとうございます!
★上條葉月(字幕翻訳者)
『㊙色情めす市場』
1974年/監督:田中登/脚本:いどあきお/出演:芹明香、花柳幻舟、宮下順子、萩原朔美
画面全体に充満する性への執着と生命力の乾いた熱気。太陽に晒された白昼の路地には惨めさも美しさもなく、すべてを拒絶する芹明香が一人立つ。むき出しの人間そのものの肯定に何度でも圧倒される。
★草野なつか (映画作家)
『天使のはらわた 赤い教室』
1979年/監督:曽根中生/脚本:石井隆、曽根中生/出演:水原ゆう紀、蟹江敬三
鑑賞後しばらく立ち上がれなかったことをよく憶えている。ひたすら鋭利で暴力的なのに、妙な軽やかさがざらりと残る。視ることしか出来ない男は<こっち>へ行く勇気もなく女はただ生きていく。生きるためだけに得た強さがあまりにも哀しく美しい。名美の瞳に宿った光だけが唯一の圧倒的な救い。私にとって大切な一本です。
★クレモン・ロジェ(映画批評家)
『ズーム・イン 暴行団地』
1980年/監督:黒沢直輔/脚本:桂千穂/出演:宮井えりな、梓ようこ
ほぼ実験映画であり、ジャッロに影響を受けながら、物語ではなく視覚的構造に全てを賭けている。殺人者のアイデンティティーはもはや問題ではない。軋む革、工具の突き刺さった裸体、画面に侵入する炎。この抽象的傑作は苦悩と喜びの関係を描写すべく現実を歪めている。
★佐々木敦(思考家/作家)
『母娘監禁・牝』
1987年/監督:斉藤水丸/脚本:荒井晴彦/出演:前川麻子、加藤善博
『母娘監禁・牝』をはじめて観たときの驚きとときめきは今も忘れられない。
少女の自殺。ひこうき雲。薄暗い部屋。そして冷蔵庫。前川麻子の儚くも凛とした存在感は奇跡的とさえ言っていい。ロマンポルノに留まらず、私の生涯ベスト映画の一本です。
★ジム・オルーク(ミュージシャン)
『愛欲の罠』
1973年/監督:大和屋竺/脚本:田中陽造/出演:荒戸源次郎、絵沢萠子
まるでヘビが自分の尻尾を噛むように、愛欲の罠がそれ自体を包み込んで蛇皮に変えて、人生を絞り出すまでその皮膚を脱がせ続けるのだ。
★城定秀夫 (映画監督)
『狂った果実』
1981年/監督:根岸吉太郎/脚本:神波史男/出演:本間優二、蜷川有紀
自分が映画監督になりたいと思ったきっかけはロマンポルノとの出会いであり、その中で一番好きな監督が根岸吉太郎監督です。煙草の煙に包まれた場末の名画座で「狂った果実」を観たときの衝撃は忘れられません。
★ディミトリ・イアンニ (キノタヨ現代日本映画祭プログラマー/ロマンポルノ研究者)
『生贄夫人』
1974年/監督:小沼勝/脚本:田中陽造/出演:谷ナオミ、坂本長利
この映画には‶小沼美学‶の極みがある。日本家屋において背徳と道徳がきしみ合い、窓の外の眩い緑が目を射る。森勝によって撮られたこの映画は、加藤泰の『陰獣』とならんでフジフィルムによるもっとも美しい達成だ。
★中原昌也 (ミュージシャン/作家)
『悶絶!!どんでん返し』
1977年/監督:神代辰巳/脚本:熊谷禄朗/出演:谷ナオミ、鶴岡修
映画よりも現実の方がよっぽど場当たりだ!という怒りが爆発の連続。ここまで緻密にいい加減な作品を他に知らない。神代の代表作と決して断言できないところがお気に入り。
★真魚八重子(映画ライター)
『愛に濡れたわたし』
1973年/監督:加藤彰/脚本:吉原幸夫/出演:宮下順子、青木リナ
とことん女に翻弄されるという遊戯がしたい男性にとって究極の理想。女にとってもこんな奇行に付き合ってくれる男性ほど信頼できる存在はない。この愛は確かで深い。
★渡辺大知(俳優/ミュージシャン)
『ラブホテル』
1985年/監督:相米慎二/脚本:石井隆/出演:速水典子、寺田農
エキセントリックな画面構成に興奮しました。その中で登場人物たちは切なく湿っぽく輝き、泥臭くも劇的な物語が展開されていきます。肉体を越えた人と人との縁の物語だと思います。
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから