“シネ・エッセイ”の作家クリス・マルケル、没後10周年の特集上映
“シネ・エッセイ”の作家として知られ、世界中のクリエイターに多大な影響を与えたクリス・マルケル。その没後10周年を記念した特集上映が、5月27日(金)よりアップリンク吉祥寺で開催。期間中にトークイベントも予定されている。
記憶と記録、歴史と個人史、戦争、虚構と現実──
永遠に消えることのないテーマで数多くの作品を発表したクリス・マルケル。フィルム、写真、本、ビデオ、ゲームなど多様なメディアを自在に使って完成させた作品は優雅にして詩的であり、2012年の没後も創作者たちに影響を与え続けている。
クリス・マルケル Chris Marker(1921年7月29日~2012年7月29日)
パリ生まれの映画作家/プロデューサー/写真家など。サルトルの許で哲学を学ぶ。第二次世界大戦中、ナチスに対するレジスタンスに参加。「夜と霧」(1955年)でアラン・レネの助監督を務める。「12モンキーズ」(1995年)のテリー・ギリアム監督をはじめ、影響を受けた者は多数。監督以外にも、「ベトナムから遠く離れて」(1967年)でプロデューサーを務めるなど、多彩な作品に寄与した。数回来日もしている。
【上映予定作品】
「北京の日曜日」(1956年/フランス/カラー/DCP/20分)
ある日曜日のスケッチとして革命後の北京の人々や風景を鮮やかに描いた初期短編。
「シベリアからの手紙」(1958年/フランス/モノクロ/DCP/61分)
開発途上のシベリアの街と風景や人々の様子をアニメーションやアーカイブ映像を挿入しつつ書簡形式のナレーションで描く。
「ある闘いの記述」(1960年/イスラエル=フランス/カラー/DCP/57分)
1961年ベルリン国際映画祭ドキュメンタリー部門金熊賞
1948年の建国以来12年を迎えたイスラエルの複雑な現実を描く。第三次中東戦争以降、マルケル自身によって上映禁止に。
「イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独」(1974年/フランス/カラー/DCP/60分)
チリ難民支援コンサートのためにリハーサル中のイヴ・モンタンを映す。
「サン・ソレイユ」(1982年/フランス/カラー/DCP/104分)
1983年ベルリン国際映画祭OCIC特別賞/1983年英国映画協会賞サザーランド賞/2014年シネマ・アイ・オナーズ他
世界を旅するカメラマンから届いた手紙を朗読する女性。日本とアフリカ、記憶や旅をテーマに、フィクションやドキュメンタリー、哲学的考察が混在したマルケルの代表作の1本。
「レベル5」(1997年/フランス/カラー/DCP/110分)
ローラは亡くなった恋人の仕事を引き継ぎ沖縄戦についてのコンピュータ・ゲームを完成させようとする……。仮想空間の中に現実と虚構が交錯するマルケル晩年の問題作。