行定勲監督らのコメント到着。パルムドール受賞の圧倒的怪作「TITANE/チタン」
- ジュリア・デュクルノー , TITANE/チタン
- 2022年03月16日
その衝撃でカンヌ国際映画祭をどよめかせ、見事パルムドールに輝いたジュリア・デュクルノー監督の怪作「TITANE/チタン」が、4月1日(金)より新宿バルト9ほか全国で公開。著名人よりコメントが届いた。
頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれた女性の危険な衝動を描く「TITANE/チタン」。このたびコメントを寄せたのは、行定勲監督、入江悠監督、津田健次郎、綿矢りさ、金原ひとみ、こがけんなど総勢25名の著名人だ。未知なる映画体験に接した彼らの熱狂ぶりが伝わる。
コメント一覧(※順不同、敬称略)
映画監督 行定勲
ジェンダーの境界線をとんでもない発想で凌駕してくる演出と芸術的変質性にやられた。
女性にしか耐えられないような痛みを可視化し、限界まで俳優の肉体と精神を追いつめ美しく昇華させる。
究極に「変」な映画でありながらラブストーリーとしても秀逸である。
映画監督・写真家 枝優花
とにかく内容に関しては「観て!感じてくれ!」なので、これ以上こちらからは何も言いたくない!
リアルタイムでデュクルノー監督の脳内を追いかけられる喜び!一緒にスクリーンを駆け巡れるなんて!同じ時代に生きててよかった!ありがとう!!
映画監督 大森立嗣
五感がぶっ飛ばされた! 映画が好きだと一度でも思ったことがある人は、みんな観た方がいい。これが映画だよ。でもガチですごいから、少し気合がいるかも。うう、まだ、頭とお腹がウズウズする
映画監督 入江悠
おそろしい新世紀の扉を、この映画が開けた感がある。あるいは、パンドラの箱か。
どちらにしてもスリリング極まりない未体験の領域だ。
写真家 小見山峻
圧倒的なクレイジーを明媚なカメラワークで流し込み、酔っ払う。この痛快な喉越しは、ここにしかない。
作家 志茂田景樹
まるで大蛇に吞み込まれたような怪引力で画面に引きずり込まれた。
ラストの稀有な衛勢力に近未来の人間社会の罪深い亀裂を想い、束の間、放心した。
作家・マンガ家 小林エリカ
圧倒的な触感と徹底的な混乱をもって欲望と愛に忠実な作品でした。
小説家 綿矢りさ
殺人無双中、最強の"良心"に出会うチタン。痛みの続く荒れ模様のなか、暖かみが芽生える。
作家 松田青子
私たちの身体の延長線上にどんな未知の世界が広がっていて、
どんな“変身”の可能性を孕んでいるのか、この監督はいつも見せてくれる。
小説家 金原ひとみ
このとち狂った世界では、狂気だけが救いとなり、狂気だけが希望となる
ライター 武田砂鉄
これまで把握していなかった感情を探し当てられた気がして怖い。どうしよう。
文筆家 五所純子
火に焼かれ、金属に侵され、改造される規範という肉体、誕生する異種交配の慈愛、疼きはじめる異物混入の夢。
美術家 会田誠
とんでもないストーリー展開に唖然としっぱなしで‥‥見終わって思ったことは『やっぱりフランスという国はある意味で世界一進んでいるなあ‥‥痛々しいほどに』ということでした。
奇想漫画家 駕籠真太朗
漫画『うる星やつら』のサブキャラである竜之介と父のエピソードを生々しく痛々しくすると本作になるのだな。
漫画家 えすとえむ
数秒先に何が起こるかわからないスリルに翻弄される。
金属、肌、火。凶暴な寓話に散りばめられた異なる質感がやけにリアルでゾワリとした。
漫画家 森泉岳土
「共感したい」というわたしの思惑は無残に切り裂かれた──計算され尽くした血まみれのヴィジョンによって、神々しく。
アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授 スプツニ子!
生物学的機能や家族関係への違和感が、メタフォリカルな表現を通して痛みとして刺さってきた
コラージュアーティスト Q-TA
痛くて冷たい、静かで暖かい
痛覚と心に同時に襲い掛かる
過激な奇跡の恋愛映画。
編集者 野村由芽
瞬きするたび、価値観が揺れた。性、身体、善悪、家族……想像もしなかった方法で現代の規範が破壊される戸惑いと解放感。
コラムニスト 山崎まどか
ヒロインを蝕む金属が燃える炎に触れて溶解し、変容し、こんなに不可思議で感動的な物語に
昇華していくとは! あまりに思いがけなかった。
キュレーター/東京藝術大学准教授 荒木夏実
どうしようもない欠落を埋めてくれる愛を、人は一生求め続けるんだろう。
たとえそれが妄想の中にしか存在しなくても。
声優 津田健次郎
エンジンの胎動、やがて鋭利な金属が常識や既成ジャンルを突き破る。産声は映画の新たな潮流か。
お笑い芸人 こがけん
共感の枠外から荒々しく魂を揺さぶってくる怪作。これをカルトだと割り切れたなら、どれだけ楽になれただろうか…。
疾走する狂気にかき回され、ねじ伏せられて鑑賞後の感情を未だに整理できない。
もはや、僕の手には負えません!
映画ジャーナリスト 宇野維正
「一体、何を見せられているんだ???」という前半から、やがてこの作品が純愛についての物語であることに気づくまで。
こんな心をかき乱される映画体験は久しくなかった。体調を整えてからご鑑賞を。
ゲームクリエイター 小島秀夫
塚本晋也の「鉄男(1989)」もクローネンバーグの「クラッシュ(1996)」も、産業革命時代の子宮から産まれ墜ちた鬼子による肉体の破壊衝動を描いた。鬼才ジュリア・デュクルノーが取り扱うのは、前世紀の象徴である“鉄屑(Fe)”ではなく、“チタン(Ti)”。本作は、デジタル時代で形骸化した“鋼鉄”の頭蓋から摘出される金属化した愛の“融点”を描く。
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020