原発事故を市民目線で描く「チェルノブイリ1986」、プロデューサーと識者らがコメント
- チェルノブイリ1986 , アレクサンドル・ロドニャンスキー
- 2022年04月22日
原発事故による未曾有の危機に立ち向かった消防士の壮絶な運命を描く「チェルノブイリ1986」が、5月6日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開。ウクライナ人プロデューサーのアレクサンドル・ロドニャンスキーのコメント映像および、三浦瑠麗(国際政治学者)、小原ブラス(コラムニスト/タレント)、古市憲寿(社会学者)のコメント文が届いた。
1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国のチョルノービリ(チェルノブイリ)で起きた原発事故。その模様を追った数々のドキュメンタリーとは異なり、現場に急行した消防士や混乱する避難者など一般市民の視点で描いたヒューマン・スペクタクルが「チェルノブイリ1986」だ。
ロシア当局からウクナイナのゼレンスキー大統領とともに“ペルソナ・ノン・グラータ”(好ましからざる人物)に認定された本作プロデューサー、アレクサンドル・ロドニャンスキーは、コメント映像の冒頭から「私はウクライナのキーウ出身です。ウクライナ侵攻が始まった日から戦争に抗議を続けています」と訴える。
「私の家族はウクライナ出身ですが、私は過去20年間モスクワに住んでいます。私が国を追われた理由はウクライナ人だからという理由ではなく、戦争反対を声高に訴えただけでもありません。ロシア兵による残虐行為について公言しました」「この戦争の責任を負うロシアの防衛大臣は、私の文化的遺産をロシアの現代文化から排除するという書簡を送ってきました。本作品もその文化的遺産なのです」と続け、「どうぞ楽しんでご覧ください」と結んでいる。
感銘を受けた著名人3名も以下、コメントを寄せている。
三浦瑠麗(国際政治学者)
人間は愚かな生き物で、戦争を繰り返し、不祥事を隠蔽する。ところが、そんな危機の時にこそ、普通の人間がヒーローになることもある。どうしようもない状況の中で、その身を捧げた人々がいた。あらゆるプロパガンダから離れて、「人間」であることの意味をかみしめたい。
小原ブラス(コラムニスト/タレント)
リアルは想像を超えるものだが、リアルを追求した結果がこれだ。観ている側まで、火傷をしたような痛みを感じ、胸が苦しくなった。
古市憲寿(社会学者)
20世紀の悪夢を描いたはずの物語が、否応なしに「現在」の映画になってしまった。脆くも崩れる日常の描写が、柔らかく美しい。
Story
若き消防士アレクセイは、元恋人のオリガと10年ぶりに再会し、彼女と新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元の原発で爆発事故が起き、穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていると知らされる。溶け出した核燃料が貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの放射性物質が撒き散らされてしまう。タンクの排水弁を手動でこじ開ける隊に志願したアレクセイだったが、行く手には想像を絶する苦難が待ち受けていた……。
「チェルノブイリ1986」
製作・監督・主演:ダニーラ・コズロフスキー「ハードコア」
製作:アレクサンドル・ロドニャンスキー「殺人狂騒曲 第9の生贄」
出演:オクサナ・アキンシナ「ミッション・イン・モスクワ」、フィリップ・アヴデエフ「LETO-レト-」
2020年/ロシア/ロシア語/135分/シネスコ/5.1ch
字幕翻訳:平井かおり/字幕監修:市谷恵子/配給:ツイン G
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