ベルリン金熊賞! 鬼才ラドゥ・ジューデの怪作「アンラッキー・セックス〜」
- アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版 , ラドゥ・ジューデ
- 2022年04月22日
第71回ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞! アンラッキーな女性教師の顛末を大胆かつ陽気に描く、ルーマニアの鬼才ラドゥ・ジューデ監督の最新作にして日本劇場初公開作「アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版」が、4月23日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。本編映像が到着した。
あけすけなセックスシーンで始まるこの挑戦的なルーマニア映画に、ベルリン国際映画祭は金熊賞を授与。その後世界中で反響を呼び、本年度アカデミー賞国際長編映画賞ルーマニア代表作に選出、さらにニューヨークタイムズが選ぶ2021年ベスト10第2位(第6位は「ドライブ・マイ・カー」)にランクイン。
この“監督〈自己検閲〉版”は、要所要所に「殺人シーンはOKで、フェラはNGだって?」「見られなくて残念!」「検閲版だよ!」といったアイロニカルで挑発的でユーモラスなメッセージが映し出されていく、類を見ないスペシャルver.だ。
ルーマニア・ブカレストを拠点に活動するラドゥ・ジューデ監督は、「アーフェリム!」(15)でベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)に輝き、続く自身初のドキュメンタリー映画「野蛮人として歴史に名を残しても構わない」(18)もベルリン上映作に選出。そして本作「アンラッキー〜」(20)でついに金熊賞受賞の栄誉に浴した、ベルリンの申し子というべき存在だ。強いメッセージ性で、歴史や現代社会に真っ向から切り込む作風が持ち味といえる。
3部で構成された映画の第1部は、夫とのセックス動画が流出・拡散してしまった名門校の教師エミが、ブカレストを彷徨う姿を追う。そして第2部では様々なワードにまつわるコラージュが、第3部では騒動の釈明・解決のための保護者会で大団円(?)に至るさまが描かれる。
このたび公開されたのは、怖すぎる保護者会のシーンだ。エミを待ち構えていた保護者たちは、校長の仲裁もむなしくすでに臨戦態勢。問題の動画を皆で確認しようと言い出すなど、彼らは好き勝手に発言していく。エミの訴える正論や教育者としての人格は無視され、論点は「教育者のするセックス」ばかり。晒し者となったエミの眼差しが印象的だ。
同時に、マスクで顔の隠れた保護者たちは、匿名で誹謗中傷を重ねるSNSユーザーの姿とも重なるようだ。監督は「僕はセックスが卑猥だとは思わない」「セクシュアルなこと以上によっぽど“猥雑な”ものが世の中には溢れている」と観客へ訴える。
怪作にして傑作、公開が待たれる。
「アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版」
監督・脚本:ラドゥ・ジューデ
2021/ルーマニア、ルクセンブルク、チェコ、クロアチア/ルーマニア語/106分/シネスコ/5.1ch
英題:BAD LUCK BANGING OR LOONY PORN
字幕翻訳:大城哲郎/配給:JAIHO R-15
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公式サイト:unluckysex-movie.com