初仕事として赤ん坊の遺体撮影を任された若いカメラマンと、依頼主である父親。ふたりの奇妙な交流を綴る小山駿助監督作「初仕事」が、7月2日(土)より新宿K’s cinemaほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルと予告編、コメントが到着した。
無名の新人監督の作品ながら第33回東京国際映画祭でプレミア上映され、第21回TAMA NEW WAVE コンペティションでグランプリとベスト男優賞に輝いた、喪失と再生の物語「初仕事」。
写真機が発明された時代に世界各地で発生したという、遺体を写す行為。そんな史実に触れた監督・主演の小山駿助が、8年をかけて完成させた本作は、「最愛の人の死とどう向き合うか」という問題を端緒に、世界と格闘する若者の姿を繊細ながらも力強く描き出す。
キャストには、カンヌ国際映画祭短編部門出品作「ふたつのウーテル」の澤田栄一をはじめ、ブルドッキングヘッドロックの橋口勇輝、文学座の武田知久、劇団晴天の白石花子など若き精鋭が名を連ねる。
予告編は、撮影をめぐって揺れる主人公ふたりの会話が「相手の気持ちがわかってしまった 自分の気持ちがうつってしまった」というコピーとともに映し出される。
コメントは小山駿助と澤田栄一および、矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)と片渕須直(アニメーション映画監督)から寄せられた。
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小山駿助(監督・主演:安斎役)
関わってくださったすべての方々に深く御礼申し上げます。
本当の本当は、作れただけで満足なんです。こんな、大手の商業映画では扱われない危うい題材。それでもこの世の中に確かに存在する、死と若さと愛の格闘が、“喪失”が消費されている現代において果たして皆様の目にどのように映るのか。
個人的な恐怖から端を発したこのお話が、少しでも普遍の趣を獲得しているとしたら、これ以上嬉しいことはありません。
どうぞよろしくお願いいたします。
澤田栄一(主演:山下役)
東京国際映画祭での評価はまたとない体験でしたが、大衆の目に触れる映画館での上映が決まり、素直に“嬉しい”と感じました。
私の演じた主人公は、不惑にも而立にも満たない、迷いの中にいる20代の若者です。
遺体の撮影という一見特異な題材を取り扱っている本作ですが、実は、大切な人との死別や初仕事の苦渋というのは、誰しもが経験している普遍的なことではないでしょうか。
小山監督の「初仕事」、是非、劇場でご覧下さい!
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矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
小山駿助という驚くべき個性を発見してもらいたい。ゆらりとした歩き姿と呪文のようなつぶやきを持つ俳優として、シンプルな設定を最大限に展開させるストーリーテラーとして、そして鋭利な美学を備えた映画作家として、小山監督が未来の日本映画界に鮮烈なインパクトをもたらすことを確信している。
片渕須直(アニメーション映画監督「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」)
冒頭から続く白く、生成りの色に作られた画面。
その中に生きる主人公もまだ染まらない、生地のままでいて、今からなにかの色を選ぼうとしている。
生成り色で語られる物語が、こんなにも緊張感をはらんでゆこうとは。
Story
写真館アシスタントの山下(澤田栄一)は、赤ん坊の遺体の撮影を人づてに依頼され、良い経験になるかもしれないと引き受ける。赤ん坊の父親で依頼主の安斎(小山駿助)は、初めは若い山下に戸惑うも、正直で実直なその姿に心を許し、撮影が始まった。時間をかけられないことも山下の使命感に拍車をかけ、美化すべきでないという倫理観は吹き飛ばされる。一方、安斎も自身を突き動かしていたのは未練だったのではと気づき、山下を止めようとするが……。
「初仕事」
出演:澤田栄一、小山駿助、橋口勇輝、武田知久、竹田邦彦、細山萌子、中村安那
監督・出演・脚本・絵コンテ・編集:小山駿助
撮影:高階匠 照明:迫田遼亮 録音:澤田栄一 メイク:細山萌子 衣装:細山貴之 美術:田幸翔
音楽:中村太紀 助監督:田幸翔、逵真平 プロデューサー:田幸翔、角田智之、細山萌子
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト 配給協力:ミカタ・エンタテインメント
2020年/日本/94分/16:9/HD
©2020「初仕事」
公式HP:https://www.hatsu-shigoto.com Twitter:@FirstJob8