有村架純×森田剛 最も見逃せない共演! いま届けたい希望と再生の物語『前科者』

異色の若き保護司が“前科者”に寄り添う姿を描いた社会派ヒューマンサスペンス

元受刑者の更生を助ける国家公務員だが、ボランティアのため無報酬の保護司。有村架純ふんする保護司の主人公が、“前科者”たちの更生・復帰を目指して奮闘する姿を描いた社会派エンターテイメントの映画「前科者」と、その前日譚を描いたドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』のBlu-rayとDVDが、8月3日にリリースされる。

ドラマ版から3年後の逞しく成長した主人公を描く映画版

保護司とは、保護司法・更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。保護司の使命について保護司法の第1条には、「保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする」と掲げられている。無報酬のため、実質的には民間のボランティアで、その主な活動は、犯罪や非行をした人が更生を図るために、生活上の助言や就労の援助を行い、その立ち直りを助ける「保護観察」、スムーズに社会復帰を果たせるよう、釈放後の帰住先の調査、引受人との話合い、就職の確保などを行い、必要な受入態勢を整える「生活環境調整」などがある。定期的に保護観察対象者と経過報告の面談を行い、保護観察官に報告書の提出も行う。仕事内容を知らない人も多いだろうが、ボランティアであることはもっと知られていないかもしれない。

主人公の阿川佳代(有村架純)は、コンビニのアルバイトで生計を立てながら保護司を勤めている。彼女の新米保護司時代を描いたのが、WOWOWで放送されたドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』であり、そこでは最初に担当した前科者の保護観察対象者で、後に友人となる斉藤みどり(石橋静河)から、3人目までの担当対象者との物語を綴っている。そして、その3年後を描くのが映画「前科者」。映画版での佳代は、冒頭から保護司として逞しくなった姿を見せる。会社を無断欠勤してアパートから出て来ない保護観察対象者には部屋の窓ガラスをたたき割り、スナックの飲み代を肩代わりさせようとしてくる保護観察対象者の作り話も見抜いてしまう。佳代は生真面目で頑固だが、使命感は強く、時として周りを驚かせるような行動に出る真っ直ぐで熱い女性。担当する保護観察対象者と初めて会う際には、「おかえりなさい」と優しく迎え、手作りの牛丼を振舞う。ドラマ版では落ち込んだり、涙を見せることも多かったが、映画版では経験を積んで成長した姿を見せている。

主人公はなぜ若くして保護司となったのか?

映画版の物語の中心となる“前科者”は、佳代が半年前から担当している工藤誠(森田剛)。10歳の時、義理の父に母を殺された工藤は、弟と施設を転々とし、就職したパン工場で激しい暴力といじめを受けた先輩を刺殺して服役していた。工藤は仮釈放後、小さな自動車修理工場で働いており、口下手だが誠実な仕事が認められ、保護観察が明けたら社員の道が約束されていた。佳代と工藤は月に2度の経過報告面談を重ねて信頼関係を深めるが、最後の面談日に工藤が姿を消してしまう。そんな中、交番の警官が拳銃を奪われて重傷を負い、その拳銃による連続殺人事件が発生。佳代が働くコンビニに、工藤の行方を探す刑事の滝本真司(磯村勇斗)と鈴木充(マキタスポーツ)が現れる。偶然にも滝本は中学校の同級生であり、佳代が保護司となった理由にも深く関わっていた…。

ボランティアである保護司を、佳代のような28歳の若い女性が務めるのは異色といえるだろう。しかし、そこには過去の傷が関わっており、それと向き合うために、佳代は複雑な思いを抱えながら保護司を務めている。ドラマ版でも一部明かされていたその過去の全容が、映画版で明かされることとなる。ドラマ版を見ていると、佳代の葛藤と成長、みどりとの関係性などが詳しくわかるが、映画版単体でも問題なく見ることができる。映画もドラマも佳代を通して“前科者”たちの物語を描いているが、映画版はドラマ版よりさらにエモーショナルな社会派エンタテインメントとなっており、社会復帰間近の工藤がなぜ再び警察に追われる身となったのかというサスペンスと共に、佳代自身のドラマも深く描いていく。彼女が保護司を続ける理由や、そこで何を求めていたのかも明かされることとなる。

 

ぶっつけ本番の岸監督の現場の緊張感が伝わる映像特典

原作は、香川まさひこ(原作)と月島冬二(作画)が『ビッグコミックオリジナル』(小学館刊)で連載中のコミック『前科者』。監督・脚本・編集を務めるのは、劇場映画デビュー作「二重生活」(15)でウラジオストク国際映画祭最優秀監督賞やニューヨークアジア映画祭審査員特別賞を受賞し、第2作の「あゝ、荒野」(17)では報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞などの各作品賞やキネマ旬報ベスト・テン読者選出監督賞を受賞した岸善幸。今作もドキュメンタリー出身の岸監督だけに、人間や社会に向き合った、リアリティのあるヒューマン・サスペンスに仕上げている。

阿川佳代役の有村架純は、弱みも見せるし揺れ惑うことも多い多面的な人間臭い主人公を熱演。不器用なほど真っ直ぐだが可愛げがあり、同じ目線で前科者の保護観察対象者に寄り添おうとする姿には、理屈抜きで信用できる人物としての説得力がある。また、前科者の工藤誠役の森田剛は寡黙な中にも激しい感情を全身全霊で表現し、滝本真司役の磯村勇斗は犯罪者への怒りを抱えた刑事役を繊細に演じている。さらに若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江と、芝居の上手い多彩なキャストが揃い、見応えのある感動作となっている。

8月3日にリリースされる映画「前科者」のBlu-rayとDVDには、特典映像としてメイキング映像と映画公開直前舞台挨拶も収録。約49分に及ぶメイキングでは、有村や森田ら主要キャストたちの現場コメントと共に、撮影現場の様子もたっぷりと見せてくれる。岸監督の現場は、リアリティを出すため、役者の動きや撮影の段取り確認だけを行い、テストなしにぶっつけ本番で撮影するそうで、緊張感のある現場の様子が伝わるものとなっている。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』(17)での共演もある有村と磯村がお互いの信頼関係を語る姿、本作への出演動機を「勝負してみたい」と思ったと語る森田、有村&石橋と有村&リリー&マキタスポーツらの仲睦まじい様子なども見ることができる。また、同時発売のドラマ『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』のDVDにも、映画版の後に撮影されたドラマ版のメイキングが収録されている。

 

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社

 

映画「前科者」

●8月3日(水)Blu-ray&DVD発売(レンタル同時)
Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●映画「前科者」DVD 4,400円(税込)  
特典映像:メイキング映像・映画公開直前舞台挨拶
封入特典: ポストカード(3枚セット)

 

●映画「前科者」Blu-ray 5,500円(税込)  
特典映像:メイキング映像・映画公開直前舞台挨拶
封入特典: ポストカード(3枚セット)

 

●2022年/日本/本編133 分
●原作:「前科者」(原作/香川まさひと・月島冬二「前科者」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載))
●監督・脚本・編集:岸善幸
●出演:有村架純 磯村勇斗 若葉竜也 マキタスポーツ 石橋静河 北村有起哉 宇野祥平/リリー・フランキー 木村多江/森田剛ほか
●発売元 :バップ 小学館 販売元:バップ
© 2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

 

 

科者-新米保護司・阿川佳代

●8月3日(水)DVD発売(レンタル同時)

前科者-新米保護司・阿川佳代 DVD(2枚組) 8,800円(税込)
2022年/日本/本編180分
特典映像:メイキング映像