女性だけのミッション:インポッシブル! 芸達者な豪華女優陣が共演した「355」

女性だけのミッション:インポッシブル! 芸達者な豪華女優陣が共演した「355」

70年代なら日本の志穂美悦子、80〜90年代なら香港のミシェル・ヨーやムーン・リーが孤軍奮闘していた女性アクション映画も今や完全にワールドワイドな人気路線。次々と快作が登場する中、今年2月に公開され、8月19日にBlu-ray&DVDがリリースとなる「355」は女性だけの「ミッション:インポッシブル」といった感じの新機軸だ。ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ダイアン・クルーガーなど美貌だけじゃない芸達者女優陣演じる女性エージェント5人組が悪と戦う麗しさにズキュン!とハートを撃ち抜かれる。

実在した女性スパイのコードネーム「355」

世界を駆け巡るロケーションは「007」級の雄大なスケール、アクションの派手さと緊迫感はメインに男性キャラがいなくても薄味を感じさせない濃厚さ。ついでに女優陣がドレッシーにお色直しする場面もあって中高年男性の根本的期待に応えてくれるサービス精神がうれしい。

謎めく題名の「355」はアメリカ独立戦争で活躍し現在まで正体不明な女性スパイのコードネームに由来。これを映画のタイトルとチーム名に冠したのは彼女たちが国家や特定の組織に属さない影の存在のプライベート・チームだから。主演の5人それぞれアメリカCIA(J・チャステイン)、イギリスMI6(ルピタ・ニョンゴ)、ドイツ連邦情報局BND(D・クルーガー)、コロンビア諜報機関(P・クルス)、中国国家安全部(ファン・ビンビン)と、本来なら敵対し罠を仕掛け合うべきプロ・エージェントが国家ミッションを捨て女性的チームワークで国際テロにたち向かう。

秀逸なシナリオと激痛を感じさせるアクション演出

敵は世界中のどんなシステムにも侵入しサイバー攻撃できるハッキング・デバイスを手にしたテロリスト。パソコンに繋げば手元の操作ひとつで世界中の航空機を墜落させ、ミサイル発射も可能な装置を入手するはずのCIAがミスったために世界が危機に陥った。ひそかにデバイス強奪を狙っていた各国女性エージェントは同時多発国際テロのカウントダウンを目の前にして「アタイらで取り返そうぜ」と結託、銃撃の名手、ハッキングのプロ、精神分析カウンセラーなど各自の特技を駆使してスケベ髭のイケメンテロリストを追い込んでゆく。チームのそれぞれが抱える女性ならではの苦悩もしっかり描いている点が既存のヒーローアクションとの差といえそう。

ツイストの効いた秀逸なシナリオで画面から目を離せないが、ラスボスの意外性にはさすがに一本とられた感。劇場で観た人も見事な伏線を改めてディスクでチェックしてほしい。Blu-ray版には激痛を感じさせるアクション演出の裏側や映画のテーマに触れたJ・チャンステインのインタビューなど40分以上の特典映像も収録されている。

文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社

『355』

●8月19日(金)Blu-ray&DVDリリース(同日DVDレンタル開始)
Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●Blu-ray:5,280円(税込) DVD:4,290円(税込)
●Blu-ray映像特典(約41分)※セルのみ
・未公開シーン
・痛む乱闘
・共演者の足跡
・疾走するパリ
・マラケシュ再現
・視覚効果の力
・インタビュー(ジェシカ・チャステイン、ダイアン・クルーガー)
・劇場予告編
●DVD映像特典(約1分)
・劇場予告編

●2022年/イギリス/本編122分
●監督・脚本・製作:サイモン・キンバーグ 脚本・原案:テレサ・レペック
●出演:ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴ、エドガー・ラミレス、セバスチャン・スタン
●発売元:キノフィルムズ、木下グループ 販売元:ハピネット・メディアマーケティング
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