「リベリアの白い血」「アイヌモシㇼ」で民族やルーツにフォーカスしてきた福永壮志監督が、山田杏奈を主演に迎えて描く「山女」が、10月24日から開催される第35回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されることが決定した(劇場公開は2023年予定)。
『遠野物語』の民話にインスパイアされ、オリジナル脚本で撮り上げた「山女」。18世紀後半の東北を舞台に、主人公の少女・凛が自らの意志で生きていく物語を通し、自然の脅威を前にした村社会の閉鎖性と集団性、また信仰の敬虔さと危うさを浮かび上がらせる。
山田杏奈が演じる凛は、苦しい日々の中でも、罪人を許す女神が住むと言い伝えられる早池峰山に祈りを捧げ、山で生きることを決意する強く健気な少女だ。
そして森山未來が、神聖な森に住み、村人に恐れられながらも凛と信頼関係を築く山男の役で共演。さらに永瀬正敏が、凛の父親であり、村八分になりながらも死体埋葬などの汚れ仕事で生計を立てる伊兵衛役で脇を固める。
山田杏奈と福永壮志監督のコメントは以下。
主演・山田杏奈
凛でいた期間は私自身も夢と現実のはざまにいたように思い出します。
現代とは違う時代背景、環境の中でも
彼女が何と戦っているのか、彼女はどうしたら幸せになれるのかをずっと考えていました。
東京国際映画祭のコンペ部門に出品されると聞き、とても光栄ですし嬉しいです。
沢山の人に福永監督の描く世界が届くことを願っています。
監督・福永壮志
『遠野物語』で書き記された数々の民話では、自然に宿る神々や化け物が絶対的な存在として描かれているのとは対照的に、人間は非力で浅はかです。その根底には自然に対する畏敬の念と、後世に向けた教戒が込められています。『山女』は、それらの民話にインスパイアされて新しく紡ぎ上げた物語で、「自然と人間」や「集団と個」といった現代の日本社会においても身近なテーマを扱っています。厳しい環境の中を必死に生きる主人公・凛を通して、この映画を観た人の心に何かを残せることを願います。
Story
18世紀後半の東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、少女・凛は人々に蔑まれながらも逞しく生きていた。彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿るといわれる早池峰山だった。
ある日、凛の父親・伊兵衛が村中を揺るがす事件を起こし、家を守るために凛は自ら村を去る。
決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。狼たちから逃げる彼女の前に現れたのは、化け物なのか人間なのかもわからぬ不思議な存在だった──。
「山女」
出演:山田杏奈、森山未來、永瀬正敏
監督:福永壮志
プロデューサー:エリック・ニアリ、三宅はるえ、家冨未央 脚本:福永壮志、長田育恵 撮影:ダニエル・サティノフ 音楽:アレックス・チャン・ハンタイ 制作プロダクション:シネリック・クリエイティブ、ブースタープロジェクト 国際共同制作:NHK
製作:「山女」製作委員会 配給:アニモプロデュース
2022年/日本・アメリカ/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
©YAMAONNA FILM COMMITTEE