若き殺人犯の美貌にもうっとりな 2月の「誰かに教えたくなるシネマ」
- 誰かに教えたくなるシネマ , 誰シネ , 永遠に僕のもの , ゴーストランドの惨劇 , コレット , ザ・ネゴシエーション , パリ、嘘つきな恋 , ベルリン、アイラブユー
- 2020年01月27日
毎月リリースされる未公開、単館系作品の中から、「観たら必ず誰かに教えたくなる」作品を厳選してご紹介。劇場で見逃した作品や隠れた名作が多く並ぶレンタル店だからこそ出会える良作、小規模公開でありながら傑作といった、様々な掘り出し映画との出会いを映画専門家レビューと共に提供します!
堕天使の妖しくて罪深き日常
映画『永遠に僕のもの』
ギャガより2月4日リリース
(C)2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
映画『永遠に僕のもの』あらすじ
天使のような美貌を持つ17歳の少年、カルリートス。彼は欲しいものを何でも盗み、窃盗が天職だと感じていた。やがて転校先で、荒々しい魅力を放つラモンと出会い強く惹かれ合うと、ふたりは様々な犯罪に手を染めていく。
映画『永遠に僕のもの』映画専門家レビュー
70年代に実在した17 歳の美しき連続殺人犯をモデルに、欲望のまま生きながらも満たされることのなかった青年の憂いと渇きの日々を描く。あのペドロ・アルモドバルがプロデュースということで、惹かれ合う少年同士のやりとりにも、濃厚なフェチズムを感じさせる。殺人は日常という、自分と同じ美学を相手にも求めていたカルリートスは、価値観がズレゆく相棒へも牙を剝き、やがては悲劇を引き起こす……。古き良き映像のコントラスト、哀愁響きまくりの音楽、そしてロレンソ君の美しさに心酔。
あの惨劇は今も続いていた……。
映画『ゴーストランドの惨劇』
キングレコードより2月5日リリース
(C)2017-5656FILMS-INCIDENT PRODUCTIONS-MARS FILMS-LOGICAL PICTURES
映画『ゴーストランドの惨劇』あらすじ
人里離れた叔母の家に移り住むことになった母と双子の娘。越したその夜に暴漢に襲われるが、母は娘を守るために暴漢をメッタ刺しにする。その惨劇から16年後、家を離れた妹のベスは久しぶりに実家に戻ってくるが……。
映画『ゴーストランドの惨劇』映画専門家レビュー
王道のホラー作品と思いきや、一筋縄ではいかない本作。冒頭のラヴクラフトの写真から、古めかしく人形だらけの室内、仕掛け鏡、狭い階段の下に広がる地下室のある不穏な家……。そこでの惨劇は終わったはずなのに!? という驚きと絶望感の衝撃。見事に話を引っくり返すと同時に、さらにエグい展開に引きずり込まれていきます。初めの3人の会話や関係性、室内の様子から伏線は張られていて、二度観推奨ですが怖くて二度は観たくなくなること必至なので、初見からしっかり観て!
人気女性作家の波乱の半生とは。
映画『コレット』
TCエンタテインメントより2月5日リリース
(C) 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.
映画『コレット』あらすじ
フランスの片田舎で育ったコレットは、人気作家ウィリーと結婚しパリに移り住む。彼女の才能にいち早く気がついたウィリーは自身のゴーストライターとして小説を書かせるが、その作品が社会現象を巻き起こすことになり……。
映画『コレット』映画専門家レビュー
フランス文学界を代表する人気女性作家シドニー=ガブリエル・コレットの波乱の人生を描いた実話。男性優位の社会で、夫のゴーストライターとして歩んできた道のりは傍から見てもかなり過酷だが、そんな中でも自分の意思を主張する彼女の強さと本当の自分を探求し続ける奔放さには脱帽。彼女が紡ぎ出す言葉の数々もまた知性に溢れ、「クローディーヌ」の読者さながら物語に引き込まれていく感覚に。その才能と強さで等身大に生きる彼女の姿に、刺激を受けること間違いなし。
タイムリミット14時間の攻防
映画『ザ・ネゴシエーション』
ツインより2月5日リリース
(C) 2018 CJ ENM CORPORATION, JK FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
映画『ザ・ネゴシエーション』あらすじ
事件現場で犯人と人質を共に死なせてしまった、ソウル市警危機交渉班のチェユン。その10日後、辞表を提出しようとする彼女を、人質を取った国際犯罪組織の武器売買業者のリーダーが、バンコクから交渉相手に指名する。
映画『ザ・ネゴシエーション』映画専門家レビュー
危機交渉班の警部補役のソン・イェジンと、彼女を交渉人に指名する犯罪組織の男を演じるヒョンビンの魅力と演技が見どころの本作。相対するふたりが、時に火花を散らしながら妥協点を探り、ある種の信頼関係から最後は共闘関係に至る過程は、緊張感溢れ見ごたえ十分。彼女の必死な想いが非情な彼の心を強く揺さぶっていきます。一方、次第に事件の全容が明らかになっていくサスペンス的面白さ、彼女を交渉人に選んだ真実が明らかになるミステリー要素など、息つく暇もありません。
驚愕のウソ、衝撃の水中デート
映画『パリ、嘘つきな恋』
松竹より2月5日リリース
(C)2018 Gaumont / La Boetie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public
映画『パリ、嘘つきな恋』あらすじ
パリで働くビジネスマンのジョスランは、イケメンで金持ちのため女性にはモテるが、“恋愛”には軽薄な男。ある日、偶然車椅子に座っているジョスランの前に美女のジュリーが現れ、彼と同じ様に車椅子に乗る姉を紹介される。
映画『パリ、嘘つきな恋』映画専門家レビュー
車椅子生活ながらヴァイオリニストとして世界中を飛び回る魅力的な女性・フロランスと出会った遊び人が、世紀の大奮闘を繰り広げる。自分も車椅子だという“嘘”だけで彼女との接点を結び、あの手この手で距離を縮めていく方法が何とも小粋。ディナー中、ジョスランが「泳げる?」と彼女に唐突に聞いたかと思うと、テーブルがプールの中へと沈み始め、たちまち幻想的な“水中デート”と化すシーンは衝撃のロマンチックさ。人生を楽しむ美女の生き様に感化されていく、ダメ男の成長記としても○。
迷える男女の愛と再生の物語
映画『ベルリン、アイラブユー』
アルバトロスより2月5日リリース
(C) 2018 BILY Media Berlin GmbH, All Rights reserved.
映画『ベルリン、アイラブユー』あらすじ
恋人が自分の兄と付き合いだして絶望の淵に立たされた男・ジャレッドは、恋人と来るはずだったベルリンをひとりで訪れ新しい車を買う。一方、イスラエル人の女性ミュージシャン・サラは天使の羽の飾りをつけた男性に出会い……。
映画『ベルリン、アイラブユー』映画専門家レビュー
“再生の街” ベルリンに集まる、多種多様な登場人物たち。キーラ・ナイトレイ、ヘレン・ミレンといった出演陣の豪華さもさることながら、物語を彩るベルリンの歴史的な風景には目を奪われる。美しいカーナビの声に失恋の傷を癒される男、ランドリーで謎に繰り広げられるダンスパーティなど、少々ヘンテコな展開も起きるがもはやそれも微笑ましく、気づけば彼らに寄り添っているような気持ちに。どこか不器用な男女が新たな出会いを通して希望を見出していく様に、勇気をもらえる一本。
■前回の誰シネはこちらから