日本の感性から生まれたファッションを通し、日常の美を追求する「うつろいの時をまとう」。木村多江と谷川俊太郎がコメント
- うつろいの時をまとう , 三宅流 , 堀畑裕之 , 関口真希子
- 2022年12月20日
日本の美意識をコンセプトに独自のスタイルを発信し続けている服飾ブランド〈matohu〉(まとふ)の創作を追ったドキュメンタリー「うつろいの時をまとう」が、3月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。ポスタービジュアルと予告編、さらに俳優・木村多江と詩人・谷川俊太郎のコメントが到着した。
matohuのデザイナーである堀畑裕之と関口真希子は、身近な風景や物から得たインスピレーションを“ことば”に変え、服に昇華させる。たったひとつの“ことば”から形となった服は、着る者の想像力を掻き立てる。ふたりの創作から見えてくるのは、日本人が長い歴史の中で育んできた“ものの見方”であり、普段は見過ごしてしまいがちな足元の“美を見つける心”。大量消費、情報過多の時代に、本当に大切なものは何か、それはどこにあるのか──。服飾のクリエーションを通して、身近な気づきへと誘うファッション・ドキュメンタリーの誕生だ。
監督を務めるのは、実験映画の制作を経て、「躍る旅人‐能楽師・津村禮次郎の肖像」(15)など伝統芸能を題材にコミュニケーションと身体のありようを描き続けてきた三宅流。これまでは撮影も兼ねてきたが、今回初めてカメラマンと手を組み、新たにファッションの分野に挑んだ。
ポスタービジュアルは、matohuが8年にわたり17章のコレクションを発表してきた〈日本の眼〉シリーズの〈なごり〉コレクションからデザインしたもの。このシリーズ名は、民藝運動の指導者・柳宗悦が晩年に病床で書いた論考のタイトル『日本の眼』に由来する。
日本の原風景であるススキの群生に、着物の要素を取り入れつつ“和服でも洋服でもない新しい服”としてブランド設立時から作り続けてきた代表的アイテム〈長着〉を併置。さらに「風景に心をよせる。服が、生まれる。」というコピーを添えた、コンセプチュアルな仕上がりだ。
予告編は、matohuのデザイナーふたりの哲学を感じさせるインタビューを紹介。さらに、妥協しないものづくりの裏側、うつろいゆく時間や物のディテール、服のテクスチュアを見つめた映像が紡がれる。
コメントは以下。
木村多江(俳優)
日常には、拾い上げないと通り過ぎてしまう小さき美が溢れている。
その一瞬を愛おしむ心が日本にはあり、彼らの服が静かにそれを物語る。
日常の美が、祈りにも似た感謝を教えてくれる気がした。
谷川俊太郎(詩人)
手と心が生む美しいものを創る人たちの日々、体温を感じさせるドキュメンタリーです。
Story
2020年1月。東京・青山のスパイラルホールで、服飾ブランド〈matohu〉の8年間のコレクションをまとめた展覧会『日本の眼』が開催された──。
matohuは〈日本の眼〉というタイトルのもと、〈かさね〉〈ふきよせ〉〈なごり〉など日本古来の洗練された美意識を表す言葉をテーマに、2010年から2018年まで全17章のコレクションを発表してきた。デザイナーの堀畑裕之は大学でドイツ哲学を、関口真希子は法律を学んでいたが手仕事や服作りへの思いからファッションの世界に飛び込む。堀畑はコム デ ギャルソン、関口はヨウジヤマモトでパタンナーとしてキャリアを積む。そして2005年にmatohuを立ち上げ、彼らは“長着”という独自のアイテムを考案した。着物の着心地や着方の自由さに着想を得ながら、今の生活に合わせてデザインされたモダンな服である。
2018年、matohuは〈日本の眼〉最後のテーマとなる〈なごり〉コレクションに取りかかり、伝統的な技術を持つ機屋や工房と協業しつつ、テキスタイルを作り上げていく。堀畑と関口はアトリエで激しい議論を繰り返しながら妥協することなくデザインを完成させ、そしてファッションショーの日を迎える。
「うつろいの時をまとう」
監督:三宅流 撮影:加藤孝信 整音・音響効果:高木創 音楽:渋谷牧人 プロデューサー:藤田功一
出演:堀畑裕之(matohu)、関口真希子(matohu)、赤木明登、津村禮次郎、大高翔
協力:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構、PEACH 助成:日本芸術文化振興会 製作・配給:グループ現代
2022年/日本/96分/カラー/DCP/5.1ch/バリアフリー上映対応
©GROUP GENDAI FILMS CO., LTD.
公式サイト:http://tokiwomatohu.com 公式Twitter:@tokiwomatohu