究極の美食とスリルのフルコース『ザ・メニュー』を召し上がれ

『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)や『女王陛下のお気に入り』(18)、第95回アカデミー賞で主要8部門9ノミネートで話題となっている現在公開中の『イニシェリン島の精霊』など、良質な作品を数多く生み出してきたサーチライト・ピクチャーズが贈る極上サスペンス『ザ・メニュー』のブルーレイ+DVDセットが2月22日(水)にリリースされる<デジタルは購入およびレンタルともに配信中>。監督はHBOのTVシリーズ『メディア王 華麗なる一族』(18)のマーク・マイロッド、製作は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15)のアダム・マッケイが務めている。絶海の孤島に佇む高級レストランのカリスマシェフがもてなす“究極のフルコース”とは?

 

シェフのスペシャルメニュー~とっておきのサプライズを添えて~

超有名シェフのスローヴィク(レイフ・ファインズ)が腕をふるう高級レストラン。そのチケットを幸運にも入手した12人の客がやってくる。高飛車な料理評論家やプライドばかりが高い落ち目の俳優など“一癖ある”客に交ざって訪れたのが、マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)だ。彼女は、自称美食家の男タイラー(ニコラス・ホルト)の連れが来られなくなった代わりに呼ばれただけの“招かざる客”。次々と運ばれてくる目にも鮮やかな料理に客たちが舌鼓を打つ一方で、マーゴだけは怪訝な顔をしていた。

 

名優レイフ・ファインズ劇場へようこそ

1品目「島(ホタテ)~私たちは一瞬の存在~」に始まり、料理は客に提供される前に必ずシェフの“演説”が入る。なぜこの料理は生まれたのか? そこにはどんな想いが込められているのか? 抑揚のある声で朗々と語るスローヴィクを演じるレイフ・ファインズが放つ、他者に四の五の言わせない存在感がすごい。シェフの“特別なサプライズ”が隠された料理を出された客たちは、わかったような顔でウンチクを並べながら絶品料理の数々を喉に流し込んでいく。しかし、4品目「混乱(ヒレ肉、ポテト、ビーフソース、骨髄、野菜)~安らかにジェレミー~」が運ばれてきてから事態は急転する。

 

「このレストランは何かがおかしい…」

レイフ・ファインズやアニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトなど個性的な俳優たちの密室でのアンサンブルが魅力的な本作の、もうひとりの主役は“料理”。三ツ星シェフが監修した独創的な料理は、思わずため息が出るほどの美しさだ。しかし、そこには過去に行ってきた悪事や料理への冒涜など、それぞれの客の本性を匂わせるブラック・ユーモアがたっぷりトッピングされていた。SNS時代と言われる現代の社会風刺も効かせた、この上ない究極のメニューに仕上がっている。

 

観る者をも“共犯”にする、本作に込められたメッセージ

劇中でスローヴィクは言う、「よく味わい、“食べないでください”。尊いメニューです」と。「食べる」と「味わう」は同じようでいて全く違う。それは料理というジャンルを超えて、私たちの日々の生活にも当てはまりはしないだろうか。極上の料理と引き換えに客たちが払わされる“代償”と、シェフが本当に作りたかったもの。全編を通して緊張感が途切れない本作だが、そのコントラストに少し心が救われる思いがした。本編鑑賞後は、料理や演技、衣裳についてスタッフが語る特典映像「“ホーソン”の厨房へようこそ」も心ゆくまで味わってみてほしい。

 

文=原真利子 制作=キネマ旬報社

 

 

 

「ザ・メニュー」

●2月22日(水)ブルーレイ+DVDセット リリース
▶ブルーレイ+DVDセットの詳細情報はこちら

ザ・メニュー ブルーレイ+DVDセット 価格:4,950円(税込)
<ブルーレイ>
・2層/MPEG-4 AVC/16×9 (2.35:1)
・英語 DTS-HDマスター・オーディオ(ロスレス) 5.1ch
・ボーナス・コンテンツ
 “ホーソン”の厨房へようこそ:-1品目、-2品目、-デザート
 未公開シーン:-船の中で、-歓迎の言葉、-無線からの声
<DVD>
片面2層/MPEG-2/16×9シネスコ (2.35:1)
・英語 ドルビーデジタル 5.1ch



●2022年/アメリカ/約107分
●監督:マーク・マイロッド
●出演:レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、、ジャネット・マクティア、リード・バーニー、ジュディス・ライト、ポール・アデルスタイン、アルトゥーロ・カストロ、ロブ・ヤン、マーク・セント・シア、ジョン・レグイザモ

●発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2023 20th Century Studios.