【キネマ旬報WEB独占掲載】分岐人生の並行描写をいかに実現させたか?「ジュリア(s)」本編映像など公開
- グレゴリー・ガドゥボワ , イザベル・カレ , ジュリア(s) , オリバー・トレイナー , ルー・ドゥ・ラージュ , ラファエル・ペルソナ
- 2023年05月11日
ピアニストとしての成功を夢見たジュリアが、選択次第では手にしたはずの4つの人生を交差させて描いた「ジュリア(s)」が、5月5日(金・祝)よりシネマート新宿ほかで全国公開中。異なる人生を並行させた本編映像、演出をめぐるオリバー・トレイナー監督のコメント、新場面写真が到着、【キネマ旬報WEB独占】でご紹介する。
映像は、ピアノコンクールに臨むジュリアを2つの“可能性”で見せる。一方は、運命的に出会ったポールに応援される白ドレスのジュリア。他方は、一人で気持ちを高める黒ドレスのジュリア。そして受賞した白ドレスのジュリアはポールと抱擁し、受賞を逃した黒ドレスのジュリアは落ち込んで遠くを歩いていく。
オリバー・トレイナー監督は「脚本を書き上げる中で、あらすじではなくエクセルシートでジュリアの人生を整理しました。4つの人生の変遷を2本のx軸y軸、そしてカラーコードを駆使して、複雑さと遊び心のある構成を成り立たせました。その作業はまさに数学者になったような気分でした」と創作の秘密を明かす。
場面写真は、分岐した各人生でさまざまな容姿を見せるジュリアを捉えたもの。演じるルー・ドゥ・ラージュについて監督は「17歳から80歳まで演じられる女優が必要になる本作で、優しさも暴力性も見せられる奇跡的な能力を持ち、若さを体現できる一方で、深みのある声を持っている彼女の起用を決めるのは一瞬でした」と振り返る。
趣向を凝らした作劇、どれもかけがえのない人生、ともに注目したい。
Story
2052年パリ。80歳の誕⽣⽇を迎えたジュリアはこれまでの充実した⼈⽣に満⾜しつつも、あり得たかもしれない別の⼈⽣に思いを馳せていた。
ピアニストを⽬指していた17歳の秋。ベルリンの壁の崩壊を知って友⼈たちと同地へ向かった⽇、もしバスに乗り遅れなかったら? 本屋で彼に出会わなかったら? シューマン・コンクールの結果が違ったら? 私が運転していたら? ジュリアが思い描いたのは、そんな何気ない瞬間から枝分かれする4つの⼈⽣。どれも決して楽ではないが、愛しい⼈たちとのかけがえのない⽇々で満たされ、眩しい。
果たしてジュリアが選んだ、幸せな“今”に繋がるたった⼀つの⼈⽣とは?
©WY PRODUCTIONS–MARS FILMS–SND-FRANCE 2 CINÉMA
配給:クロックワークス