チリの異才レオン&コシーニャが放つ、世にも恐ろしいストップモーションアニメ「オオカミの家」

 

チリの2人組監督〈レオン&コシーニャ〉によるストップモーション・アニメーション「オオカミの家」が、8月より渋谷シアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開(短編「骨」も同時上映)。ポスタービジュアルが到着した。

 

 

「オオカミの家」は、レオン&コシーニャ(=クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャ)による初の長編映画。チリ南部の施設を脱走し、森の一軒家で2匹の子ブタと出会った娘・マリアが直面する悪夢を描いた“ホラー・フェアリーテイル”だ。ピノチェト軍事政権下に実在したコミューン〈コロニア・ディグニダ〉にインスパイアされて制作した。

レオン&コシーニャは監督のほか脚本、美術、撮影、編集も手掛け、企画段階を含めると完成までに5年を費やしたという。ワールドプレミアとなった第68回ベルリン国際映画祭ではカリガリ映画賞、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭では審査員賞に輝いた。

「ミッドサマー」のアリ・アスターも「レオン&コシーニャは、まぎれもなくヤン・シュヴァンクマイエルとクエイ兄弟の後継者だ。『オオカミの家』のような作品が作られたことは、過去に一度もない!」と絶賛。そして彼らの短編「骨」の製作総指揮に名乗りを上げ、自身の最新作「Beau is Afraid」では12分に及ぶアニメ・パートを彼らに依頼した。

ポスタービジュアルは、主人公マリアが劇中で見せるあらゆる形態をコラージュした日本オリジナルのもの。全編カメラが止まることなくワンシーン・ワンカットで空間が変容し続ける、まさに“異形”の世界が凝縮されている。右下の2匹の子ブタの手足が長い理由は本編を見てのお楽しみ。レオン&コシーニャも「大好きなアートワークだ。本当に完璧!アメイジング!早くシェアさせて!」と称えている。

 

「オオカミの家」

美しい山々に囲まれたチリ南部。“助け合って幸せに”をモットーとするドイツ人集落に、動物が大好きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまった彼女は、厳しい罰に耐えられず脱走。そして逃げ込んだ一軒家で2匹の子ブタと出会い、〈ペドロ〉〈アナ〉と名付けて世話することに。だが安心も束の間、森の奥からマリアを探すオオカミの声が聞こえ始める。彼女の怯えに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に変わり、家は悪夢の世界と化していく……。

監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
脚本:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ、アレハンドラ・モファット
声:アマリア・カッサイ、ライナー・クラウゼ
2018年/チリ/スペイン語・ドイツ語/74分/カラー/1.50:1/5.1ch/原題:La Casa Lobo/字幕翻訳:草刈かおり
© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

 

「骨」

2021年、新憲法草案の議論が進むチリで、ある映像が発掘された。それは、少女が人間の死体を使って謎の儀式を行っているもので……。1901年に制作された世界初のストップモーション・アニメーション(という設定)。

監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
エグゼクティブ・プロデューサー:アリ・アスター
音楽:ティム・フェイン
2021年/チリ/スペイン語/14分/モノクロ/スタンダード/ステレオ/原題:Los Huesos/字幕翻訳:草刈かおり
© Pista B & Diluvio, 2023

 

配給:ザジフィルムズ
協力:WOWOWプラス
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/lacasalobo/
公式Twitter:https://twitter.com/lacasaloboJP