4人の監督が思いを込めて。情緒溢れるミニシアター応援活劇「THEATERS」
山口雄也、中村公彦、鈴木太一、沖正人の監督4人がミニシアターをテーマに撮り上げたオムニバス「THEATERS」が、7月15日(土)よりユーロスペースほかで全国順次公開。メインビジュアルが到着した。
いずれも初作品をミニシアターで上映し、救われてきた4人の監督。近年の相次ぐ閉館を受けて何かできないかと考え、2021年に「THEATERS」を制作する。撮影はそれぞれ深谷シネマ(埼玉)、シネマ・ジャック&ベティ(神奈川)、横川シネマ(広島)、御成座(秋田)で実施。その味わいある佇まいを映画で見せることで、注目が高まってほしいとの期待を込める。キャストには矢作穂香、今野浩喜、大谷亮介、渡辺哲らが名を連ね、エンディングテーマには注目バンド、インナージャーニーの書き下ろし曲が採用された。
映画は広島国際映画祭や函館港イルミナシオン映画祭などで高い評価を獲得。その後、劇場公開はコロナ禍で目処が立たなかったが、クラウドファンディングをはじめさまざまな支援を得て、このたび実現した。なお上映したミニシアターには、興行収入の一部(各劇場の公開初日の興行収入を全額)とグッズの販売利益(原価・送料を差し引いた利益分を全額)が贈与されるという。
〈各作品紹介〉
「銀幕エレジー」山口雄也監督(深谷シネマ/埼玉)
ブルーカラーの家で育った友恵の唯一の楽しみは、映画を観ること。吉国グループの御曹司である慶太郎と結婚し、玉の輿に乗った。だが、初めこそ優しかった慶太郎は友恵を下に見て、暴力を振るうように。友恵は両親や兄弟に相談するも、吉国家から資金援助を受ける彼らは「今に良くなる」「耐えろ」と取り合わない。そんなある日、友恵はある決断をする。そして、流されて生きていた自分が今なぜ大胆な行動を取れるのかを悟る──。深谷シネマは酒蔵をリノベーションした映画館。人は何度でもやり直せるという意味を込めて。
「シネマコンプレックス」中村公彦監督(シネマ・ジャック&ベティ/神奈川)
20年以上も助監督を務めてきた手条順也は、ようやく初監督作品を完成させた。だが喜びも束の間、主演俳優の光寺篤が映画スポンサーの社長令嬢とW不倫のスキャンダルを起こし、映画はお蔵入りとなる。絶望した手条は、反社から買った拳銃でプロデューサーの須賀山忍に発砲し、200万円を奪って逃走。それでも長年コンビを組んできた弟分の助監督・池飛雄馬に説得され、自首することに。その前に、子供の頃に通っていた横浜の映画館に立ち寄ると、そこにはかつて映画の楽しみ方を教えてくれた支配人の東方紀明がいた。手条の胸中に渦巻く、映画への愛と憎悪の行く末は──。
「俺と映画と、ある女」鈴木太一監督(横川シネマ/広島)
今から9年ほど前、初めて長編映画を撮った〈私〉は、広島の横川シネマを訪れた。全国ミニシアターを巡る上映行脚をしていたところ、同館でかけてもらえることになったのだ。そこでの支配人や常連客との触れ合い、そしてある女との運命的な出会い。これは〈私〉=鈴木太一という映画監督の実体験に基づく、少々風変わりで、ほろ苦く甘酸っぱい物語。
「colorful」沖正人監督(御成座/秋田)
目の病気で色が識別できない宗徳。ある日、最愛の両親を交通事故で亡くし、母の故郷である秋田県の児童養護施設に預けられることに。叔母に連れられて向かう道中、大昔に閉館したはずの映画館が、賑やかだった往時の様相となっていた。支配人に招かれて中に入ったふたりは、不思議な体験をすることに──。
「THEATERS」
監督:山口雄也、中村公彦、鈴木太一、沖正人
出演:矢作穂香、今野浩喜、和田光沙、高崎翔太、渡辺哲、大谷亮介、ドロンズ石本、品田誠、伊沢弘
制作:株式会社MINERAL
配給:リアリーライクフィルムズ株式会社
2021年/日本/カラー/114分
©2021「THEATERS」製作委員会
公式サイト:www.4theaters.com