岡田麿里監督「アリスとテレスのまぼろし工場」、キャストの榎木淳弥 × 上田麗奈 × 久野美咲によるトークとともに特報映像など解禁
- アリスとテレスのまぼろし工場 , 岡田麿里 , 榎木淳弥 , 上田麗奈 , 久野美咲
- 2023年05月23日
5月21日(日)にアニメーションスタジオMAPPAのイベント〈MAPPA STAGE 2023〉が開催され、岡田麿里の「さよならの朝に約束の花をかざろう」に続く監督第2作「アリスとテレスのまぼろし工場」のステージが展開。メインキャストを榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲が務めることが発表され、3人のトークとともに特報映像とティザービジュアルが解禁された(映画は9月15日より全国公開)。

MAPPAの大塚社長の「岡田監督の作りたい世界を徹底的に追求した作品を作りたい」という思いで制作が決まった本作。物語は「ある日突然起こった製鉄所の爆発事故により出口を失い、時まで止まってしまった町」が舞台となり、住人たちはいつか元に戻れるように“変化”を禁じられてしまう。
そんな閉ざされた世界で退屈な毎日を過ごす中学3年生、菊入正宗を演じる榎木は「正宗は14歳で時が止まっているという状態なので、退屈さや変化してはいけないこと思うところがあって、鬱屈したところからスタートしていく。睦実や五実と関わることでどう変化していくのか…ネタバレしそうで本当に怖い…!」と恐る恐る役どころを説明しつつ、「めちゃくちゃ濃厚な作品に仕上がっていると思います!」と自信を見せる。
正宗にとって気になる存在で、少し大人びた同級生の佐上睦実を演じる上田は「睦実はミステリアスな少女。この町のルール、“心を動かしてはいけない” “変化があってはいけない”という中で人一倍、“動かしてはいけない”と思っているキャラクター。なぜ、そこまでルールを守っているのか?本当の気持ちはどこにあるのか?探りながら観ていくと、より面白く観ていただけると思う。そんな絶妙なキャラクターになっている」と興味を煽る。
突如現れた感情剥き出しの少女・五実を演じる久野は「言葉も話せないですし、野生の狼みたいな正体不明の…話せる内容が限られていて、何言ってもダメな気がする(笑)」と戸惑いつつ「正宗と睦実が五実と出会ってどう変わるかが重要なポイント」と、物語の鍵を握る存在であることを示唆した。
榎木は「3人とも主人公みたいな、3人の成長が描かれていく作品」と説明し、上田は「皆さんのお芝居の爆発力がとんでもない!」と榎木と久野を称賛。「物語やキャラクターの成長を表現するお二人の爆発力はこの作品の見どころになるんじゃないかなって思ってます」と続けると、榎木は「上田さんも凄かったですよ!」、久野は「あんな麗奈ちゃん初めて見た!」と興奮気味に返す。さらに榎木は「人間と向き合う作品だから、アフレコの時に3人でトライアングルになって、お互いを見ながらバチバチにアフレコした。楽しかった思い出がある」と振り返る。
続いて岡田監督のメッセージが読み上げられ、岡田監督の質問にキャストが回答するコーナーへ。
五実との類似点を問われた久野は「ここ最近は自分の本能というか思いのままというか、衝動的に行動しちゃっている瞬間がある。野性味の強いキャラクターなのでそういった部分で重なるところはあるんじゃないかな?」と回答。すると榎木も久野に「野性味を感じる」と賛同し、「やっぱり飲み屋での姿が…」とアフレコ終了後の3人での初飲みで、久野がはじけていたことを暴露した。
上田は、複雑な睦実と同様に理解してもらえない習慣やクセがあるかを問われ「猫ちゃんが2匹いて、その子たちに行ってきますと挨拶してから家を出るんですけど、『もう一生会えなくなるかも…最後かもしれない…ありがとう!』と心の中で思ってからじゃないと家を出れない」と告白。「猫も困惑していると思う」と榎木はつっこむが、久野は「気持ち分かる!」と意気投合する。
オーディションテープで「正宗を見つけた!」と岡田監督に思わせた榎木。その収録に際し、どのようなディレクションをしたのかと問われ「オーディションの時もあまり作品の情報がなかったけれども、リアルにやってほしいと言われて。アニメってデフォルメすることが多くてリアルにやる現場多くないので、リアルにやっていいと太鼓判をいただいたので、『じゃぁ、自分の好きな世界観を出そう!』と。セリフ聞き取れなくてもいいやってくらいの気持ちでやったら、岡田さんにすごい褒めていただいて。『よっしゃ!受かった!』と思った(笑)」と明かした。
最新のティザービジュアルがスクリーンに投影されると、一同「かっこいい!!」と絶賛。
特報映像もわずか30秒ながら会場を引き込む。併せて岡田監督書き下ろしの原作小説が、角川文庫から6月13日(金)に発売されることも告知された。
最後に、「MAPPA初のオリジナル劇場アニメということで、岡田監督含めて、スタッフさんが命を削りながらこの作品と向き合っているので、一人でも多くの人に観てもらいたい。私も全部ぶつけてアフレコしたので、楽しみにしていただけたら」(久野)、「本当に恋っていいな、と思わせてくれる作品。大人になるにつれて恋みたいに心が激しく動くことって少なくなっていく。その中でこのキャラクターたちに触れて、こんなにも溢れて止まらないものがあるんだって、改めて恋っていいなぁって。みんなの熱量がフィルムから伝わってくる作品になっている」(上田)、「岡田監督が100%こだわり抜いた作品になっている。こんなにアフレコで疲れたのは初めて。それだけエネルギーを秘めた作品になっている。劇場で観たら見終わった後、茫然としてしまうと思う。公開を楽しみにしていただけたら」(榎木)とアピールし、大歓声の中でイベントは幕を閉じた。
〈岡田麿里監督メッセージ〉
『アリスとテレスのまぼろし工場』ですが、作品に関わってくれている多くのスタッフの情熱により、少しずつ作品の完成形が見えてきました。
この作品を作っている理由の一つに、自分が子供の頃に憧れた邦画や劇場アニメの空気を、現代の文法で作ってみたいというものがありました。抱いていた理想そのままに、どこか懐かしい、それでいてちょっと見たことがないような映像になってきていると思います。
少年たちが主人公の本作ですが、甘酸っぱい青春物とは全力で逆走している、ヒリヒリした青春を描いています。皆さんに楽しんでいただけますよう、スタッフ一同頑張ります。なにとぞよろしくお願いいたします。
Story
製鉄所の爆発事故ですべての出口を失い、時が止まってしまった町。住民はいつか元に戻れるように変化を禁じられ、鬱屈を抱えていた。そこに暮らす中学3年生の正宗は、謎めいた同級生の睦実に導かれ、製鉄所の第五高炉へ足を踏み入れる。すると現れたのは、喋ることのできない野生の狼のような少女だった──。日常に飽きた少年少女の〈恋する衝動〉が、世界を壊し始める。
「アリスとテレスのまぼろし工場」
原作・脚本・監督:岡田麿里
副監督:平松禎史 キャラクターデザイン:石井百合子 美術監督:東地和生 音楽:横山克 制作:MAPPA
声:榎木淳弥、上田麗奈、久野美咲
配給:ワーナー・ブラザース映画、MAPPA
©新見伏製鐵保存会
公式HP https://maboroshi.movie