台北と東京を舞台に、独り人生を彷徨ってきた男の歪んだ青春を描く「風のゆくえ」が、8月5日(土)より新宿K’s cinemaほかで全国順次公開。瀬々敬久と大森立嗣のコメント入りティザー予告が到着し、宣伝費の支援を募るクラウドファンディングが開始された。
東京郊外の倉庫で働きながら、漠然と日々を過ごす真司。親兄弟と別れて養護施設で育った過去に劣等感を抱き、誰にも心を開かず生きてきた。趣味は本を読むことと、ノートに自分の気持ちを書くこと。付き合っていた原田茉耶には、別れを切り出してしまう。
「………俺ずっと一人だったから……別に俺じゃなくてもいいでしょ」
それから2日後、ふたりは予約していた台北旅行に出る。
最後の旅を楽しもうとする真司だったが、初めて心に入ってきた茉耶と別れるということの意味を理解していなかった……。
メガホンを執るのは、幼少期を養護施設で過ごし、解体作業員を経て映画監督・プロデューサーの荒戸源次郎のもとで映画制作を学んだ石井慎吾。自身の経験に基づく脚本で、閉じた世界に生きる若者のざらついた感情をスクリーンに焼き付けた。
主人公の真司を演じるのは、「菊とギロチン」「あのこは貴族」『すべて忘れてしまうから』などに出演し、映画監督としても活躍する嶺豪一。茉耶役は、子役として「赤い月」で映画デビューして以降、舞台を中心に活動する斎藤千晃が務める。
クラウドファンディングはモーションギャラリーで実施中。新鋭監督の私小説ならぬ〈私映画〉に注目したい。
〈コメント〉
大森立嗣(映画監督)
何かが肌に触れてくる。
この映画の凄まじさは画面に痛みが焼きついているところだ。
真っ当に歪んだ青春。叫びたくなる。懐かしい。苦しい。もういいだろ!
慎吾、次へいけ、世界は広い
瀬々敬久(映画監督)
今を生きることへの不安や焦燥、誰しも感じる日々の苛立ちを、
剥き身の全力、真剣刀で描き出した映画だ。
それだけで好感を持った。
そして主演の嶺豪一と斎藤千晃の、この瞬間だけに賭けている存在感。
彼らのゆくえが知りたくなる、ゆくえに願いを込めたくなる。
そんな二人を見てるだけでいい。
大西信満(俳優)
たとえるならば、砲丸投げのように放たれた歪なごつごつとした塊を、
どすんと目の前に落とされたような。
その放物線の先で、肩で息をしながら石井慎吾がこちらを見つめている。
渾身の投擲は、時間が経ってなお、地面を揺らしている。
松浦祐也(俳優)
あのヒトが出演しているなら映画館で観ないといかんぞって思わされる俳優がいます。
アタシが一方的に敬愛している俳優です。
(逆に「コイツやっぱりひでえ芝居してんな」って確認する為に観る俳優もいます。)
『風のゆくえ』の主演・嶺豪一さんも、確実にその一人です。や、もちろん残念な方ではなく、敬愛している方です。
今作も感心してクヤシクなった芝居がありました。チクショー、ごーいちイイ芝居してやがんな!
石井慎吾(本作監督)
この作品は僕自身の経験をもとに脚本を書き起こしました。一人の青年が自己肯定感の低さから
別れを選び妄想に囚われていた自分を振り切り立ち上がっていく物語です。
僕自身今回この映画を作ることで変わっていったことがあります。
大切なことは人と生きること
人を受け入れること
人を愛すること
一番は自分自身の全てを認め愛してあげることだと気がつきました。
この映画がある人の変わるきっかけや救いになればと思い届けていきます。
「風のゆくえ」
監督・脚本:石井慎吾
出演:嶺豪一、斎藤千晃、豊満亮、小林由來、武田真悟、仙洞田志織、神野陽子、米元信太郎、針ヶ谷功明
撮影:古屋幸一 録音:南川淳 台北録音:空井大地 助監督:木下雄介 美術:吉岡晶 ヘアメイク:香理 スチール:佐々木綾子 応援:池原大也、坂口天志、磯龍介 台北コーディネーター:江依紋 編集:足立佑安、立薗駿 サウンドデザイン:光地拓郎 音楽:今村左悶 音楽助手:今村淳平 音楽ミックス:今村左悶、江渡佳彦 協力:珈琲専門店アルマンド、pebble 下北沢、bar DUDE、晴海客船ターミナル、牛丸亮、針ヶ谷仁、飯田澄人、浅井ヘアメイク事務所 音楽協力:エム・スタイル
配給宣伝:MAP 配給協力:ALFAZBET
2022年/カラー/日本/DCP/ビスタ/74分
©映画「風のゆくえ」製作委員会