罪なき孫たちをISISから救いたい。命がけの旅を追った「“敵”の子どもたち」
- “敵”の子どもたち , ゴルキ・グラセル・ミューラー
- 2023年06月08日
娘がISIS(イスラム国)に参加して死亡し、遺された孫7人を救おうと決意した男性。その命がけの旅を追ったドキュメンタリー「“敵”の子どもたち」が、9月16日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。
スウェーデンに暮らすミュージシャンのパトリシオ・ガルヴェス。その娘であるアマンダはイスラム教徒に改宗し、スウェーデンで最も悪名高いISISメンバーと結婚、 2014年にシリアに密航してしまう。帰国させるための説得は、実を結ばなかった。そして2019年、ISIS掃討作戦で娘夫婦は殺され、1歳から8歳までの子ども7人が遺された。
「娘は救えなかったが、孫は救いたい」。決意を固めたパトリシオは、毎晩シリアを逃れてきた子どもたちの大量の写真を確認し、援助団体と連絡を取り続ける。すると、孫はシリア北東部のアルホル難⺠キャンプにいることが判明。パトリシオはスーツケースにおもちゃや靴を詰め込み、シリアとの国境が近いイラクの都市へ向かう。
SNSには「敵の子どもたちを連れて帰るな」「孫と一緒にシリアにいろ」など数々の批判が書き込まれたが、「子どもたちに罪はない」と諦めなかった。スウェーデン当局も解放に足踏みする中、危険で衛生環境も悪い難⺠キャンプから孫を救い出すため、パトリシオは自らシリア入りすることに……。
ゴルキ・グラセル・ミューラー監督メッセージ
「“敵”の子どもたち」は、パトリシオ・ガルヴェスが孫を救うために、一歩一歩逆境と闘いながら進んでいく物語である。しかし、より大きなスケールで、彼の戦いは、人間であることが今日何を意味するかについての物語である。世界は二極化し、より極端になっています。今日の政治情勢において、この子どもたちは無邪気なスウェーデンの子どもたちとして見られていません。ソーシャルメディア上では、「ISISの子どもたち」、あるいは「テロリストの子どもたち」と呼ばれているのです。このような文明的な欠如が、私をこの映画の製作に駆り立てたのです。それは、ギリシャの古い物語「イーリアス」で、敗者の運命はその子どもたちと共有されるということを思い出させました。パトリシオの偉大な行為は、ニュース性を越えて、ゴリアテに対するダビデ、“敵”の子どもを助けようとしないシステムに対する小人の行動という普遍的な物語があります。しかし、その最も深いレベルでは、これは子どもを失うという、親にとって最大の痛みについての物語である。娘のアマンダが死んだとき、パトリシオはどんな危険も顧みずに孫を救うことを誓いました。その時、戦争の子どもたちの物語は、愛する子どもたちの物語に変わったのです。
「“敵”の子どもたち」
監督・脚本:ゴルキ・グラセル・ミューラー
作曲:リサ・ノードストロム
編集:オーサ・モスバリ、カスパー・レイク、ソーレン・B・エッべ、エリカ・ゴンザレス
プロデューサー:クリストフ・ヘネル、エリカ・マルムグレン
共同プロデューサー:シグネ・レイク・イェンセン、モルテン・カウフマン
製作総指揮:ジョン・バトセック、アニカ・ヘルストロム
製作:シネニックフィルム
共同製作:SVT、フィルム・アイ・ヴァスト、ツールボックスフィルム、GGM フィルム、ワンナイトピクチャー
原題:Children of the Enemy
配給:ユナイテッドピープル
2021年/スウェーデン・デンマーク・カタール/ドキュメンタリー/97分
公式サイト:https://unitedpeople.jp/coe/