“恐るべき才能” マクバル・ムバラクが、インドネシア農村に紡ぐ不穏な寓話「沈黙の自叙伝」

 

インドネシアから現れた恐るべき才能、マクバル・ムバラク監督。彼が初長編として暴力と欺瞞に満ちたインドネシアの近現代史を寓話的に描き、第79回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で上映されて国際批評家連盟賞を受賞、さらに第23回東京フィルメックスコンペティション部門では審査員長のリティ・パン監督に絶賛されて最優秀作品賞に輝いた「沈黙の自叙伝」が、9月中旬よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開される。場面写真が到着した。

 

 

 

父は収監され、兄は出稼ぎで海外にいる青年ラキブ。退役した将軍プルナの屋敷で、たった一人の使用人として働くことになる。プルナは身分を超えてラキブに親身に接し、父親代わりの存在となりつつあった。ラキブもプルナのアシスタントを天職と感じる。やがて将軍は首長選挙に立候補し、キャンペーンが始まるとともに、ふたりの運命も動き出すが……。

 

 

 

農村に君臨する“独裁者”、仕える青年、ふたりの間に流れる奇妙な時間、そして静かに回る運命の歯車──。ただならぬタッチに注目したい。

 

見事な演出による自信に満ちた映画スタイル。
巨大な網に対する個人の抵抗の探求が次第に権力構造の不穏な邪悪さへと変化する様子を描いている。
──リティ・パン(映画監督『消えた画 クメール・ルージュの真実』/東京フィルメックス審査委員長)

 

「沈黙の自叙伝」

監督:マクバル・ムバラク
出演:ケビン・アルディロワ、アースウェンディ・ベニング・サワラ、スワラ・ユスフ・マハルディカ、ルクマン・サルディ
配給:ムーリンプロダクション
2022年/インドネシア、ポーランド、ドイツ、シンガポール、フランス、フィリピン、カタール/インドネシア語/カラー/115分/英題:AUTOBIOGRAPHY
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