新鋭・村瀬大智監督が奈良の旅館に紡ぐ家族の物語。新人の三宅朱莉と水川あさみ共演「霧の淵」

 

京都芸術大(旧 :京都造形芸術大 )在学中より注目作を発表してきた新鋭の村瀬大智監督が、映画初出演となる三宅朱莉をはじめ、水川あさみ、三浦誠己、堀田眞三の共演で、奈良県の山中にある旅館を舞台に転機を迎えた家族の物語を紡いだ「霧の淵」が4月より公開。ティザービジュアルが到着した。

 

 

奈良県南東部の山に囲まれた集落。かつては商店や旅館が軒を連ね、登山客などで賑わっていたが、今は静まり返っている。

代々旅館を営む家に生まれ育ったイヒカ(三宅朱莉)は12歳。父の良治(三浦誠己)は数年前から別居しているが、母の咲(水川あさみ)は嫁いできた旅館を義理の父・シゲ(堀田眞三)と切り盛りしている。

そんなある日、シゲが姿を消した。旅館存続が危ぶまれる中、家族に変化の時が訪れる──。

 

 

なら国際映画祭の〈NARAtive(ナラティブ)〉プロジェクトとして制作された、村瀬大智監督の初の商業長編映画となる本作。第72回サン・セバスチャン国際映画祭で新人監督部門に最年少で選出され、第28回釜山国際映画祭でA Window on Asian Cinema部門招待作品としてアジアプレミアを行った。

 

 

〈コメント〉

三宅朱莉
この「霧の淵」という作品の出演が決まった時、喜び以上に驚きや不安がありました。
それまで映画に出演した経験もなく、不安な気持ちもありました。
ですが、いざ現場入りしてみると、監督さんやスタッフさん、共演者の方々が私のことをイヒカとして接してくれて、イヒカとして生活する事で、とても自然体で撮影に臨むことができました。
奈良の川上村で過ごす、日常を切り取った様な温かい作品です。ぜひ劇場でご覧下さい。

水川あさみ
奈良の川上村で住むようにして撮影した日々を思い出します。
山で椎茸や山菜をとったり、薪で火を焚べたり、沸騰するお湯の湯気すら愛おしい時間でした。
わたし演じる咲のモデルとなった朝日館の女将から、色んな話を伺う事で役が生きてきて映画に反映される。
東京で暮らすわたしには全てが贅沢で素晴らしい経験でした。
それぞれ登場人物の想いや葛藤はもちろんですが、雰囲気や匂い、そんなものまで感じてもらえたら嬉しいです。

三浦誠己
大好きな出演作が、またひとつ増えました。
撮影現場で何度も映画が「育つ」瞬間を体験でき、また演技の中で導かれるように動く自分に鳥肌が立ちました。
この映画は村瀬監督のもと、素晴らしいチームの力と奈良県川上村の方々の協力によって「育てられた」映画だと思っています。
素晴らしい脚本が、撮影現場の様々なアンサンブルによって超越していく瞬間がありました。
是非、映画館で「風の音」「森の匂い」を感じて下さい。

堀田眞三
令和4年3月23日、古来より神秘の力が宿り、悠久の歴史を誇る 奈良県の奥吉野川上村、朝日館さんにてクランクインしました。
峰にはまだ雪があちこちにあり、 以来 山全体 吉野桜 満開の絶景 に至る 大自然の元 3週間撮影しました。安全成功祈願祭、さざれ石、てんから釣り、見事な苔・石垣 、源流館 、ジビエのロールキャベツ、鹿の焼き肉弁当 、春増さんのお話、撮影では百々カメラマンの笑顔に助けられ、尽きぬ想い出ばかりです。
そして何よりの喜びは 皆々さんに 凄ーく良くして頂け心豊かな毎日を過ごさせていただいた事です。『霧の淵』に関わる皆様、本当にありがとうございました。

村瀬大智監督
『霧の淵』は、川上村で川上村の皆さんと作った大事な映画です。
2020年から川上村で長い時間を過ごさせてもらい、撮影も沢山の村民の方々にご協力やご出演いただきました。
そして『霧の淵』は、過疎化が進む村で老舗旅館を営む家族の映画です。
この映画の舞台となった奈良県の川上村は、2018年には人口減少率では全国でワーストになってしまった村です。
僕はこの村出身でもないし、縁もゆかりもありませんでした。言ってしまえば他所者です。
他所者には分からないこともあれば、他所者だからこそ感じるものもあります。
村内の人が住まなくなってしまった集落、ダムの底へと続く旧道。
かつての人々の生活の痕跡。
何かを永遠に保存していたい気持ちと衰退の過程の瞬間にある無常を美しいと思ってしまう矛盾した気持ちを抱きながら、この映画は出来上がりました。
過去、現在、未来と、フレームの外へ伸びてゆく川上村での時間を体感していただけたら嬉しいです。

 

 

「霧の淵」

監督・脚本:村瀬大智
出演:三宅朱莉、三浦誠己、堀田眞三、杉原亜実、中山慎悟、宮本伊織、大友至恩、水川あさみ
エグゼクティブプロデューサー:河瀨直美 プロデューサー:吉岡フローレス亜衣子
撮影:百々武 録音:森英司 照明:藤江立 美術:塩川節子 助監督:福嶋賢治 制作担当:濱本敏治 編集:唯野浩平 音楽:梅村和史 ヘアメイク:南辻明宏 衣装:山上順子 製作:なら国際映画祭
助成:奈良県、川上村、奈良市
配給:ナカチカピクチャーズ
2023/日本/G/DCP/5.1ch/83分
©2023“霧の淵”Nara International Film Festival