要塞化する沖縄・南西諸島から祈りを込めて。三上智恵監督「戦雲」

 

「標的の村」「沖縄スパイ戦史」でキネマ旬報ベスト・テン文化映画第1位に輝いた三上智恵監督が、6年ぶりの新作として、急速な軍事要塞化が進む沖縄・南西諸島の現状を捉えた「戦雲」(いくさふむ)が、3月16日(土)よりポレポレ東中野ほかで全国順次公開。特報映像が到着した。

 

 

日米両政府の主導により、自衛隊ミサイル部隊の配備、弾薬庫の増設、全島民避難計画などが進む南西諸島。2022年には、台湾有事を想定した日米共同軍事演習〈キーン・ソード23〉と安保三文書の内容から、島民の犠牲を事実上覚悟した防衛計画が露わになった。

その真の脅威を読み解き、報じるメディアはほとんどない。全国の空港・港湾の軍事拠点化と兵站基地化が進んでいることを、どれだけの日本人が知っているか。本当の国防とは何か。圧殺されるのは沖縄の声だけではない。

 

 

2015年から8年かけ、沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島などを取材してきた三上智恵監督の最新レポートとなる本作。迫る戦争の脅威だけでなく、過酷な歴史の上で豊かな自然とともに営まれる暮らしや祭りも映し出す。それこそが《抑止力》の名の下に蹂躙されようとしている何かであり、希望と祈りの源にほかならない。

タイトルの「戦雲」は、作中で山里節子さんが歌う石垣島の抒情詩〈とぅばらーま〉の一節「また戦雲が湧き出してくるよ、恐ろしくて眠れない」から取られた。現地の発音で「いくさふむ」。戦を告げる不穏な雲を吹き飛ばす映画にしたいと、三上監督が思いを込めた。

 

三上智恵監督メッセージ
今からでも遅くはない。
共に目撃者になり、今という歴史を背負う当事者になってほしい。

 

   

 

「戦雲」

監督:三上智恵 語り:山里節子 プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴 撮影:上江洲佑弥 編集:青木孝文 監督補:桃原英樹 CG:比嘉真人 イラスト:山内若菜 音楽:勝井祐二
製作協力:沖縄記録映画製作を応援する会 製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵 配給:東風
2024/日本/132分/DCP/ドキュメンタリー
©2024『戦雲』製作委員会
公式サイト:https://ikusafumu.jp/