映画作家・アーティストの山岡瑞子が《大混乱》の中で自身を見つめる「Maelstrom マエルストロム」

 

2002年にニューヨークの美術大学を卒業してすぐ、交通事故に遭って下半身不随となった映画作家・アーティストの山岡瑞子が、大混乱(マエルストロム)の中で自身を見つめ直していく姿を収めた「Maelstrom マエルストロム」が、5月10日(金)よりアップリンク吉祥寺で公開される。

 

 

山岡監督が5年半をかけて制作した本作は、ピッツバーグ大学Japan Documentary Film Award 2022、東京ドキュメンタリー映画祭2022、ニッポンコネクション2023などで上映された。

そしてこのたび、キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門5位に入選。選評では、映画評論家の松本侑壬子が「留学先の事故で突然身障者になった女性(監督)の生きる闘い20年の体験記録。大混乱(題名)の中で毅然と生きる姿に圧倒される。」、映画ジャーナリストの谷川建司が「次点の「Maelstrom マエルストロム」も含めて(1位は「ケアを紡いで」)、人生の大きな困難に直面しながらも前向きに生きる姿に感銘を受け、そういった人たちに目を向け、多くの人たちにその想いを届けたいという作り手の姿勢にも共感。」と称えている。

それまでの日常を失った時、何がその人らしさを繋ぎ止めるのか。事故前の自身と繋がり直し、探している場所に辿り着けるのか。切実かつ繊細な表現で心揺さぶる“魂のセルフ・ポートレート”に注目したい。

 

 

〈コメント〉

オシダアヤ(「Maelstrom マエルストロム」音楽)
「さっき歌ってた曲を私の映画に使わせて下さい!」とライブの後で声をかけていただいたのが山岡さんとの出会いでした。当時私は出産を機にバンド活動を休止し育児に専念するも、やっぱり音楽がやりたくて一人でライブを始めた頃で、びっくりしたけど嬉しかったのを覚えてます。如何なる状況下でも表現し続けようとする彼女の意志に胸が熱くなりました。「軸を自分自身と表現することに戻していかないと、ゆっくりと私が死んでゆくだろう。」と山岡さんが語るところで、毎回私は大きく頷きながら涙ぐみます。感銘と共鳴が波のように押し寄せ、気づくと自分も大渦に巻かれているような凄い映画だなと思います!

山岡瑞子(映画作家・アーティスト)
答えのない試行錯誤と葛藤の渦に脚を取られ、溺れていた──見失った自分と繋がり直し、どこかにあるはずの陸に這い上がることを祈りながら、執筆・編集を続けた5年半でした。この個人的で小さな自主映画が、国内外の映画祭での上映/受賞、劇場公開、2023年キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門5位と進めたことに、深く感謝しています。未来を探る一人の女性のモノローグが、観る人の何かの気付きに繋がれば、誠に幸いです。

 

 

「Maelstrom マエルストロム」

監督・撮影・編集・ナレーション:山岡瑞子
撮影:本田広大、平野浩一、高橋朋子
音楽:オシダアヤ
配給・宣伝協力:ムービー・アクト・プロジェクト
2022年/カラー/HD/日本/79分
映画公式サイト:maelstromfilm.com
山岡瑞子サイト:https://mizuko-yamaoka.amebaownd.com
©Mizuko Yamaoka