アカデミー賞監督ポン・ジュノに新たな栄冠!
- キネマ旬報ベスト・テン , ポン・ジュノ , 殺人の追憶 , グエムルー漢江の怪物 , 母なる証明 , パラサイト 半地下の家族 , 2020年7月上旬特別号
- 2020年06月15日
創刊100年を迎えた映画雑誌キネマ旬報では、創刊100年特別企画として、10年区切りでのベスト・テンを選出、特集してきた。
1970年代の外国映画ベスト・ワンは「タクシードライバー」、日本映画ベスト・ワンは「太陽を盗んだ男」、1980年代は同「ブレードランナー」、同「家族ゲーム」、1990年代は同「牯嶺街少年殺人事件」、同「月はどっちに出ている」だった。
そして今回、2000年代(00年代)の投票が行われ、当時公開された約4,000作品の外国映画の中から、ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」がべスト・ワンに輝いた。昨年、韓国映画として史上初となるカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)に輝き、第92回アカデミー賞では作品賞含む最多4部門(作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞)を受賞した「パラサイト 半地下の家族」で一躍、日本中にその名を知らしめたポン・ジュノ監督だが、改めて、2000年代にはすでにその時代を代表する作品を残していたことに気づかされる。
ポン・ジュノ監督
キネマ旬報では、米アカデミー賞よりも長い歴史を持つ映画賞である「キネマ旬報ベスト・テン」で、その年のベスト・テンの選出も行っているが、2000年代のポン・ジュノ監督作品は、第78回(2004年度)外国映画第2位「殺人の追憶」、第80回(2006年度)同第3位「グエムルー漢江の怪物」、第83回(2009年度)同第2位「母なる証明」と、10年間で3作品もが上位に入賞している。
ここで少々お気づきかと思うが、2004年の1年間で2位だった作品が、10年間での1位になっているという不思議な現象が起きている。実はこの現象はこれまでにも起こっていて、「太陽を盗んだ男」(1979年度第2位/同第1位「復讐するは我にあり」)、「ブレードランナー」(1982年度第25位/同第1位「E.T.」)、「牯嶺街少年殺人事件」(1992年度第2位/同第1位「美しき諍い女」)は、その年のベスト・ワンには選出されていなかった。年月を経た今、改めて投票を行った結果、その時代を代表する作品として票を集めたのだ。逆に「タクシードライバー」、「家族ゲーム」、「月はどっちに出ている」の3作品は、当時のベスト・テンでも、今回の投票でも1位となり、作品が時代を超えることを証明してみせている。もちろん、投票者も集計のスタイルも当時のそれとは違う部分もあるので、そういった部分も影響していることは確かだが、映画と時代を、改めて眺めてみるのも面白い。
最後に、ポン・ジュノ監督とキネマ旬報ベスト・テンについて注目すべき点をもうひとつ。前述の通り、2000年代に3作品がベスト・テン上位に選出されているが、当時それを上回る票を集めた作品は何だったのだろうか――。第78回(2004年度)外国映画第1位「ミスティック・リバー」、第80回(2006年度)同第1位「硫黄島からの手紙」、同第2位「父親たちの星条旗」、第83回(2009年度)同第1位「グラン・トリノ」。何と、そのすべてがクリント・イーストウッド監督作品だったのだ。何とも不可思議な巡り合わせもあったものだが、今回、10年間のベスト・テンでついにイーストウッド監督作品を超える票を集め、当時の雪辱を果たした形となった。
となると、イーストウッド作品は一体何位だったのだろうか――。また、2000年代、興業では「ハリー・ポッター」シリーズが、第1弾となる「賢者の石」の203億円を皮切りに、続々と100億円を超える興行収入を叩き出すなど、ファンタジー映画のヒットが目立った時代でもあった。果たして、2000年代外国映画ベスト・テン、「殺人の追憶」に続く2位以下はどんな作品が並ぶのだろうか。詳細は、6月19日発売の「キネマ旬報7月上旬号」にて。
2003年・韓国・130分
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/シム・ソンボ
出演:ソン・ガンホ/キム・サンギョン/パク・ヘイル
●4Kニューマスター版 Blu-ray 4000円+税 DVD 3200円+税 7月22日(水)発売
発売・販売/TCエンタテインメント
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創刊100年特別企画シリーズ
00年代(2000年~2009年) 外国映画ベスト・テン
ベスト・テン発表/選評/00年代コラム
キーワードでふりかえる00年代
●特集
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」
「東京の恋人」
●追悼特集
ミシェル・ピコリ