森崎ウィン監督作がグランプリ受賞。〈ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2024〉
- 森崎ウィン , せん , ヤマアラシのジレンマ , いつの日か , ナイジェリアのバレエダンサー , プールのカニ , 十日と永遠
- 2024年06月18日
「Illuminate Your Life〜いのち照らせ セカイ照らせ」をテーマに、114の国と地域から集まった4,936作品より選び抜いた約270作品を上映・配信してきた〈ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2024〉。
6月17日(月)にアワードセレモニーが行われ、最高賞のジョージ・ルーカスアワードに俳優の森崎ウィンが初監督を務めた「せん」が選ばれた(同作はライブアクション部門 ジャパンカテゴリー優秀賞/東京都知事賞も受賞)。併せて各部門優秀賞なども発表、結果は以下の通りとなった。
SSFF & ASIA 2024グランプリ「ジョージ・ルーカス アワード」受賞作品
「せん」
監督:森崎ウィン/24:45/日本/ドラマ/2024
田舎に暮らすおばあさんのいつもの一日が始まる。ちゃぶ台で役場の若者と朝食をとり、縁側で配達員と茶飲み話をする。そんな日常に、微細な不協和音が聞こえてくる。
【受賞理由】ある田舎の一軒家というワンシチュエーションで繰り広げられる物語ながらその背景から聞こえてくるメッセージ、音楽と役者の見事なパフォーマンス。ショートフィルムらしい圧倒的な構成力で無駄がなく、大変力強い作品。
ミュージカルアクターである監督ならではの演出が光っており、グランプリにふさわしい作品であった。

ライブアクション部門 インターナショナル 優秀賞【第97回アカデミー賞ノミネート候補】
「ヤマアラシのジレンマ」
監督:マテウス・リビンスキー/16:10/ポーランド/ドラマ/2023
この映画は全編手話で構成されている。舞台は、依存症に悩む若いろう者向けのリハビリ施設。新患の主人公は⻑期入院者に惹かれていることに気づき、絆を深めようと奮闘する。
【審査員コメント】二人の人間が出会って、化学反応が起こって変わっていく様子が初めから最後までストーリーの流れがよくまとまっていて、キャラクターディベロップメント、ストーリーディベロップメント、演技、全てにおいて⻑けていた。全編手話で台詞が全くない中で、映像演出のメッセージが素晴らしく、見たことのない世界を体験させてくれる例外的に素晴らしい作品。
──ライブアクション部門 インターナショナル 審査員 永作博美、山崎エマ、Tim Redford
ライブアクション部門 アジア インターナショナル 優秀賞/東京都知事賞【第97回アカデミー賞ノミネート候補】
「いつの日か」
監督:プラディーダ・ブリファ・ラハユ/22:08/インドネシア/ドラマ/2023
目の見えない10代のスリとヤンティは、寮で暮らしていた頃からの親友でいつも一緒。ある日、ヤンティが夢を追うために町を離れると言い出したことで、2人は喧嘩してしまう。ヤンティは自分たちに夢を持つ権利はあるだろうかと問いかける。
【審査員コメント】視覚障害のある役者の演技が素晴らしく、友達同士の中で一人が成功を収め、一人が取り残されるという誰もが経験する人生の葛藤を見事に演じ切っていた。障害を中心にするのではなく、友情の物語として誰もが共感でき、夢と希望をもらえる素晴らしい作品。
──ライブアクション部門 アジア インターナショナル 審査員 シャロン・バダル、藤岡弘、、本木克英
ライブアクション部門 ジャパン 優秀賞/東京都知事賞【第97回アカデミー賞ノミネート候補】
「せん」
監督:森崎ウィン/24:45/日本/ドラマ/2024
田舎に暮らすおばあさんのいつもの一日が始まる。ちゃぶ台で役場の若者と朝食をとり、縁側で配達員と茶飲み話をする。そんな日常に、微細な不協和音が聞こえてくる。
【審査員コメント】ラジオから聞こえてくる世界情勢と変わらない日常生活の中に、歳を取ることや孤独といったテーマがあり、さりげない中に深いメッセージが隠されている。全体的に自己の周囲を見つめて深堀りしていく似通ったテーマが多い中で、オリジナリティがあり、新鮮で意外性のある作品だった。
──ライブアクション部門 ジャパン 審査員 シャロン・バダル、藤岡弘、、本木克英
ノンフィクション部門 優秀賞【第97回アカデミー賞ノミネート候補】
「ナイジェリアのバレエダンサー」
監督:ジェイコブ・クルプニク/14:44/ナイジェリア、アメリカ/ノンフィクション/2023
雨の中でバレエを踊る子どもたちの映像がSNSで拡散されると、ナイジェリアのラゴスにある小さなバレエスクールに世界中が注目した。YouTubeの動画でバレエを習得したダニエル・アジャラは今、世界のステージに立つため稽古に励んでいる。
【審査員コメント】テーマ、メッセージ、創造性、カリスマ性、サウンド、尺、全ての分野においてショートフィルムとしてずば抜けて優れており、人物を描くドキュメンタリーが多い中で、他のどの作品よりもオリジナリティが光る作品であった。残酷だけれども美しく力強いメッセージと若者のパッションがいつまでも心に残る作品。
──ノンフィクション部門 審査員 永作博美、山崎エマ、Tim Redford
アニメーション部門 優秀賞【第97回アカデミー賞ノミネート候補】
「プールのカニ」
監督:Alexandra Myotte & Jean-Sébastien Hamel/11:11/カナダ/アニメーション/2023
荒れ果てた住宅街で、ゾーイと弟のテオは二人きり。思春期のゾーイは、内なる恐怖に取り憑かれた怒りの塊。テオはまだ子どもで、空想の世界に逃避している。
【審査員コメント】少年の持つ想像の双眼鏡、空間コンピューティング的表現、カラフルできめ細やかなタッチが素晴らしく、現代的で非常に優れた作品。狭い世界を描いていそうで深いテーマがあり、人間の様子がリアルによく描かれていた。
──アニメーション部門 審査員 川田十夢、シシヤマザキ、杉山知之
HOPPY HAPPY AWARD
「十日と永遠」
監督:倉田健次/24:59/日本/ドラマ/2024
故郷を捨ててカメラマンとなったアキラは、弟のジュンが不思議なメッセージを残したことから十数年ぶりに帰郷。しかし弟の姿はなく、弟の娘のサナに赤い封筒を渡される。それは【宝探し】の始まりだった……。
受賞作を含むオフィシャルコンペティションノミネート作品は、映画祭オンライン会場グランドシアターで6月30日(日)まで特別延⻑配信される。ぜひ注目したい。