《20世紀最高の女優》と謳われたロミー・シュナイダーの特集上映〈ロミー・シュナイダー映画祭2024〉が、10月18日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で順次開催される。

2022年に続く第2弾特集となる今回。ラインナップは当時十代のロミーをスターダムに押し上げた「プリンセス・シシー」(1955)、鬼才アンジェイ・ズラウスキーと組んで第1回セザール賞主演女優賞に輝いた「最も重要なものは愛」(1975/日本劇場初公開)、ハーヴェイ・カイテルとハリー・ディーン・スタントンと共演した異色のSF「デス・ウォッチ」(1980/日本劇場初公開)の3本で、すべてデジタルリマスター版となる。年代もジャンルも異なる作品群で、ロミーの多彩な魅力を味わいたい。

 

 

坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)コメント

「ロミーの顔は、一瞬で表情が変わる。嵐が起こったかと思えば、次の瞬間は光輝く青空が見える。そう、彼女の顔はまるで広大な風景のようだ」そう述べたのは脚本家ジャン=ルー・ダバディだった。ロミー・シュナイダーはまるで映画と一体化するかのように、目の前の人間、世界を映し出してしまう独特の力を有している。
 今回特集される3本の作品を見ることで、ロミー・シュナイダーがその30年近くに亘る女優人生で、ひとつのイメージや役柄、演じ方に留まることなく、リスクを怖れずあらたな試みに挑み続けてきたことをあらためて確認することができるだろう。生き生きと可憐なオーストリア皇妃を演じて世界中に巻き起こした「シシー現象」から、まるで自由を求め続けるシシーのように解き放たれることを望んだロミー。「最も重要なものは愛」の危うさや脆さと高貴なまでの威厳を併せ持つ女優ナディーヌ、死を前にして人生を果敢に横断してみせる「デス・ウォッチ」の女流作家キャサリン。ロミーが演じた女性たちは、見終わった後も深く、私たちの心の中に生き続けてゆく。

 

「プリンセス・シシー」Sissi

1955年/オーストリア/ドイツ語/102分
監督・脚本:エルンスト・マリシュカ
出演:ロミー・シュナイダー、カールハインツ・ベーム、マグダ・シュナイダー
© 1955 Erma-Filmproduktionsgesellschaft Ernst Marischka & Co.

お転婆娘シシーがオーストリアの皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と出会い、ヨーロッパ一の美貌と謳われた皇妃エリザベートとなるまでを描いたプリンセス・ストーリー。撮影当初16歳のロミーはどこまでもチャーミングながら、後の大女優の片鱗も見せる。再現された19世紀の宮廷の様相はまさに圧巻。欧州各地で大ヒットし、ロミーは一躍アイドル女優となった。

 

「最も重要なものは愛」L'important c'est d'aimer 日本劇場初公開

1975年/仏=伊=西独/フランス語/113分
監督・脚本:アンジェイ・ズラウスキー
出演:ロミー・シュナイダー、ファビオ・テスティ、ジャック・デュトロン、クラウス・キンスキー
© 1975 STUDIOCANAL - Rizzoli Film (Italie) - TIT Film Produktion (Allemagne) - Tous Droits Réservés

ソフトポルノ映画に出演する女優とその夫、彼女に一目惚れしたカメラマンの三角関係を軸に、「ポゼッション」(1981)で知られるポーランドの鬼才ズラウスキーが描き上げた、過激で濃密な愛のドラマ。撮影中はズラウスキーと何度も衝突したロミーだが、その演技が高く評価され第1回セザール賞主演女優賞を獲得。剥き出しの美しさで哀願するロミーを捉えた冒頭から目が離せない。

 

「デス・ウォッチ」Death Watch 日本劇場初公開

1980年/仏=西独/英語、仏語/130分
監督・脚本:ベルトラン・タヴェルニエ
出演:ロミー・シュナイダー、ハーヴェイ・カイテル、ハリー・ディーン・スタントン、マックス・フォン・シドー
© 1980 / STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA - TV 13 Munich avec la participation de la SFP

医療が進歩し、病死が稀になった近未来。不治の病と診断された女性作家の最期の日々をリアリティ番組『デス・ウォッチ』で放映するため、スタッフの男が隠し撮りを始めるものの、共に逃亡する中で二人に絆が芽生える──。「田舎の日曜日」(1984)の名匠タヴェルニエによる異色のSF映画。粗末な衣裳をまとい死の影に怯えながらも、決して尊厳を失わないロミーの迫真の演技が胸に迫る。公開から2年後、ロミーは世を去った。

 

〈ロミー・シュナイダー映画祭2024〉

提供:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA、マーメイドフィルム
公式サイト:http://romyfilmfes.jp/