スティーヴ・マックイーン監督がナチス占領下アムステルダムの記憶を《復元》した大作「占領都市」

 

第二次世界大戦中の1940年5月から5年間、ナチス・ドイツの占領下に置かれたオランダの首都アムステルダム。人権や言論の自由は奪われ、ユダヤ人を中心に多くの犠牲者が出た。有名なアンネ・フランクのように強制収容所へ送られた者は10万7千人にのぼり、そのうち10万2千人が虐殺されたと考えられている。

そうした歴史を捉えたビアンカ・スティグターの著書『Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)』を、夫であり「それでも夜は明ける」の監督であるスティーヴ・マックイーンが映画化(製作はA24)した4時間11分のドキュメンタリー「占領都市」が、12月27日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町ほか全国で公開される。ポスタービジュアルと予告編が到着した。

 

 

アムステルダムを第二の故郷として暮らすマックイーンが目指したのは、情報の羅列ではなく、場所に語らせるような映画。アーカイブ映像やインタビューによる回想を避け、35mmフィルムで130ヵ所に及ぶ《現場》を正確に捉えることで、恐怖の日々を体感させる。賑やかな公園やレンガ造りの家といった美しい風景も、虐殺の記憶を持っている。

撮影監督はポール・バーホーヴェンやヤン・デ・ボンの作品に携わったレナート・ヒレッジ、音楽は「aftersun/アフターサン」のオリバー・コーツが担当。本作はカンヌ国際映画祭スペシャル・スクリーニング部門で上映されたのち、英国インディペンデント映画賞やクリティックス・チョイス・ドキュメンタリー・アワードで各種部門にノミネートされ、日本のTBSドキュメンタリー映画祭にも招待された。過去と現在を野心的アプローチで繋いだ重要作だ。

 

 

「占領都市」

監督:スティーヴ・マックイーン
原作:ビアンカ・スティグター「Atlas of an Occupied City (Amsterdam 1940-1945)」
製作総指揮:ダニエル・バトセク、ベン・コレン、オリー・マッデン、ヤリフ・ミルチャ、マイケル・シェイファー
製作:フロア・オンラスト、アンナ・スミス=テンサー
撮影:レナート・ヒレッジ 編集:ザンダー・ナイステン 録音:ヨス・テン・クロスター 整音:ヤン・シェルマー
ナレーション:メラニー・ハイアムズ 音楽:オリバー・コーツ
2023年/イギリス、オランダ、アメリカ/英語(一部オランダ語)/251分/スタンダード/カラー/5.1ch/G
原題:OCCUPIED CITY 日本語字幕:松田千絵
提供:TBSテレビ 配給:トランスフォーマー、TBSテレビ
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