安藤サクラ、史上初“夫婦で主演賞”の喜びを語る「私は柄本佑という俳優のファン」

若尾文子、岩下志麻、桃井かおり、原田美枝子に宮沢りえ。「キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞」を3回受賞した歴々に、このほど安藤サクラも名を連ねた。しかも2010年代の7年間(2012~2018年)だけで、3度目の栄冠という快挙。60年代に若尾文子が8年間で同じ記録を達成していることを踏まえても、名優と呼んで差し支えない域に達した感がある。だが、本人は自身のことよりも夫である柄本佑の「主演男優賞」受賞に、顔をほころばせた。

安藤サクラ(以下、安藤):「すっごく、うれしかったです。それは夫婦で受賞したから、ということではなくて。自分の受賞は聞いた瞬間も、少し時間が経って落ち着いてからも、なかなか120%素直な喜びにはならないんです。何というか…頑張って頑張って掘っていって、耳かきに乗るくらいの大きさの素直なところを見つけて喜べるという感じなんです。受賞の連絡が来た瞬間は、どうしてもどこか他人事みたいで。でも、表紙撮影の相手として『主演男優賞は柄本佑さんです』と教えられた時は、もう飛び上がって喜びました。それこそ120%以上の、ただただ、めでたい気持ちになりました。夫ではありますけど、私は柄本佑の超ファンでもあるので。すぐ柄本のおとうさんに電話をして受賞の報告をしました。本来は人に喋っちゃいけないのかもしれないんですけど、大興奮してしまって。家族みんな、とっても喜んでくれました」

夫婦での表紙撮影を振り返る

ふだんから「取材の場で気持ちを言葉にするのに苦労する」と話すように、独特の間と言語感覚で思いを吐露していく。その上で、随所にユーモアをにじませるのが、“サクラ節”。史上初の夫婦での主演賞受賞の表紙撮影を、はにかみながら振り返った。

安藤:「娘を連れて実家近くで撮影したのですが、なんせ家の目の前なんで、その間、柄本のおとうさんが娘を三輪車に乗せて一緒に現場をウロウロしていて。それは、なんだか不思議なおもしろい光景でした(笑)。撮影は難しかったです。夫婦感満載な写真になっても恥ずかしいですし、かといって気取って2人で写るのも照れくさいですし。でも滅多にない貴重な撮影なのでお互い一張羅でのぞみました。張り切って、前日に夫婦でスーツを買いに行って、私は(角替)和枝さんの着物を着させてもらって。幸せな時間でした」

インタビューの続きは『キネマ旬報』2月下旬ベスト・テン発表号に掲載。今号では『2018年 第92回キネマ旬報ベスト・テン&個人賞』を発表。安藤サクラはじめ、受賞者のインタビューや2018年ベスト・テンの分析座談会などを掲載している。(敬称略)

取材・文:平田真人/撮影:平岩享/制作:キネマ旬報社

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