文豪アントン・チェーホフの『犬を連れた奥さん』を含む4つの短編をもとに、名優マルチェロ・マストロヤンニを主演に迎え、名匠ニキータ・ミハルコフ監督が描き上げた身勝手なイタリア男の可笑しくも悲しい愛の物語「黒い瞳」(1987)。このたびマストロヤンニの生誕100年およびチェーホフの没後120年に合わせ、4K修復ロングバージョンで5月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国にて順次公開することが決定。ポスタービジュアルと予告編が到着した。

 

 

アテネを経てイタリアに向かう客船。ひと気のない食堂で窓際のテーブルに座る初老のロマーノ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、ロシア人の紳士に自身の人生を語り始める。

イタリアの田舎町に生まれた彼は、大銀行家の一人娘であるエリザと結婚して富を得たが、夫婦の仲は冷え切っていた。銀行が倒産の危機に瀕する中、ロマーノは身を寄せた湯治場で、子犬を連れたロシア人のアンナと恋に落ちる。そして彼女が手紙を残して消えると、ロマーノは行方を追ってロシアへ向かうが……。

 

 

共同脚本にヴィスコンティ作品でおなじみのスーゾ・チェッキ・ダミーコが名を連ね、音楽を名手フランシス・レイが担当。エリザ役をシルヴァーナ・マンガーノ、娘のクラウディア役をイザベラ・ロッセリーニが務める。映画は第40回カンヌ国際映画祭男優賞受賞、第60回アカデミー賞主演男優賞ノミネート、第33回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞・主演女優賞受賞を果たした。なお今回のロングバージョンは約25分を追加したもので、マストロヤンニの没後20年に制作され、第73回ヴェネチア国際映画祭ヴェネチア・クラシック部門に出品された。美しく甦った映像で、豊潤なドラマを味わいたい。

 

 

「黒い瞳 4K修復ロングバージョン」

監督:ニキータ・ミハルコフ
脚本:アレクサンドル・アダバシャン、ニキータ・ミハルコフ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
原作:アントン・チェーホフ「犬を連れた奥さん」他
音楽:フランシス・レイ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、シルヴァーナ・マンガーノ、マルト・ケラー、エレナ・サフォーノヴァ
1987年/イタリア/イタリア語、ロシア語/143分/カラー/1.33:1/モノラル
原題:OCI CIORNIE 字幕翻訳:関口英子 ロシア語監修:守屋愛
配給:ザジフィルムズ
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公式サイト:https://www.zaziefilms.com/kuroihitomi/