ケイト・ブランシェットとクリストス・ニク監督が対談。「林檎とポラロイド」

第77回ヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門オープニング作品に選出され、作品に惚れ込んだケイト・ブランシェットが完成後にもかかわらずエグゼクティブ・プロデューサーに名乗りを上げた、クリストス・ニク監督の長編デビュー作「林檎とポラロイド」が、3月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。

 

©2020 Boo Productions and Lava Films

ハリウッド進出も決まったクリストス・ニク監督

記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界で、男が治療のために様々なミッションをこなし、新たな思い出を作っていく姿を描く「林檎とポラロイド」。リチャード・リンクレイター(「6才のボクが、大人になるまで。」)やヨルゴス・ランティモス(「女王陛下のお気に入り」)の助監督を務めたクリストス・ニクが、彼らの持ち味である奇抜なアイデアと人間への優しい眼差しを独自に昇華させて創り上げた鮮烈な初長編だ。

ワールドプレミアとなった2020年ヴェネチア国際映画祭では、その独創的で普遍的な物語に「見事なまでに胸を打つ〈ガーディアン紙〉」「魂のこもった今日性のある映画〈ヴァラエティ誌〉」と絶賛が寄せられた。さらに監督に才能に惚れ込んだケイト・ブランシェットが、エグゼクティブ・プロデューサーとして参加することを熱望、新たにクレジットされる。クリストス・ニクの次回作は、ケイト・ブランシェットがプロデュース、キャリー・マリガンが主演することが決定。長編2作目で早くもハリウッド・デビューを果たすことになった。

「人とのつながりなしに、自分は存在するのか?」

このたびケイト・ブランシェットとクリストス・ニク監督の対談映像が解禁。

ケイト・ブランシェットは、パンデミック(コロナ禍)で「人とのつながりなしに、自分は存在するのか? 私たちは人の記憶の中に存在するのか?」と自分の存在について考え、「この映画はとても深いと感じた」と感想を述べた。

一方クリストス監督は、コロナ前の製作でありながら、コロナ禍を意識させる作品となったことに対して「共感を得やすくなったと思います」「パンデミックの中で、人々は孤立感や将来への不安を抱き、喪失感、孤独感を持っています」と映画との連動性を述べつつ、「記憶というテーマは、時を超えてこの先も通用する内容で、パンデミック後も残る物語」だと、本作が普遍的内容であることも強調した。

 

©2020 Boo Productions and Lava Films

 

Story

記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界──。それでも男は毎日リンゴを食べる。
「お名前は?」「覚えていません」──。 バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。世界では記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延し、治療として「新しい自分」と呼ばれる回復プログラムが行われている。毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていくのだ。自転車に乗る、仮装パーティーで友達をつくる、ホラー映画を見る。そして、その新たな経験をポラロイドに記録する。そうした日々の中で、男は同じくプログラムに参加する女と出会い、仲良くなっていく。しかし「新しい日常」に慣れてきた頃、男は忘れたはずの以前住んでいた番地をふと口にする……。「哀しい記憶だけ失うことはできませんか?」口数の少ない男が治療を通して心に宿した本当の思いとは──?

 

「林檎とポラロイド」

監督:クリストス・ニク 脚本:クリストス・ニク、スタヴロス・ラプティス 撮影:バルトシュ・シュフィニャルスキ 編集:ヨルゴス・ザフィリス
出演:アリス・セルヴェタリス、ソフィア・ゲオルゴヴァシリ
2020年/ギリシャ=ポーランド=スロベニア/カラー/スタンダード/5.1ch/90分/原題Mila
配給:ビターズ・エンド  www.bitters.co.jp/ringo/ Twitter https://twitter.com/RingoEiga