ムック|Mの迷宮 『輪るピングドラム』論

ムック

表紙・巻頭特集

定価1500円+税 ページ数232
刊行キネマ旬報社 発行日2012年4月下旬
判型四六判 ISBN978-4-87376-395-8

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内容 / Detail

■内容紹介
鬼才・幾原邦彦が放った2011年のTVアニメ界最大の問題作『輪るピングドラム』を、
「成熟という檻 『魔法少女まどか☆マギカ』論」で鮮烈な商業評論デビューを飾った著者が論じる、渾身の書き下ろし。
実在の国内事件を想起させる謎に満ちたプロット、難解かつ深遠な多くのアナロジー、
実験的なビジュアル表現によって、放映終了後も視聴者をけむに巻き続けてきた本作が、
『風の谷のナウシカ』『新世紀エヴァンゲリオン』『少女革命ウテナ』という
3作品を手がかりにして、あざやかに読み解かれます。
監修と注釈執筆は映画監督・脚本家の樫原辰郎。
また、熱烈な幾原邦彦ファンを公言し、『輪るピングドラム』『少女革命ウテナ』を
愛してやまない“はるかぜちゃん”こと春名風花が、全文読破の上、帯にコメントを寄せています。
全232ページ、うちグラビア16ページ。美麗な場面写真を豊富に使用した、まったく新しいタイプのアニメ評論です。


【目次より】

カラーグラビア/各話解説

序章 輪る物語の回廊へ

第一章 『少女革命ウテナ』をめぐって――全体主義三部作Ⅰ
 1 『少女革命ウテナ』あらすじ
 2 暁生はなぜウテナを誘惑するのか?
 3 アンシーと「現実」
 4 根室教授の犯罪
 5 「愛神」の庭、スプラッタシティ

第二章 『輪るピングドラム』――「生存戦略」と「運命」
 1 『輪るピングドラム』あらすじ
 2 「運命」と過去
 3 「生存戦略」とはなにか?
 4 『ピンドラ』のホラー的側面について

第三章 『風の谷のナウシカ』――全体主義三部作Ⅱ
 1 ナウシカはなぜトルメキア兵を殺すのか?
 2 アニメ版における変更
 3 独裁者たち
 4 偽りのリアリティ
 5 『ナウシカ』と『ウテナ』に共通する構造
 6 『ウテナ』にはなぜ二人の悪役が登場するのか?――暁生と根室

第四章 『新世紀エヴァンゲリオン』――全体主義三部作Ⅲ
 1 成熟の鋳型
 2 「偽りのリアリティ」としての第3新東京市
 3 『エヴァ』中盤の明るい回は何を意図しているのか?

第五章 運命と愛――『輪るピングドラム』
 1 氷山のペンギンたち――なぜマリオには分身のペンギンがいないのか?
 2 眞悧のゲーム――なぜ彼は、陽毬の夢に現れたのか?
 3 キスと果実
 4 変わらない世界――「革命」から「生存戦略」へ
 5  ピングドラムとは何か?
 6  蠍の炎
 7  Mの迷宮――ピングドラムと運命日記

あとがき


【著者】
山川賢一(やまかわ・けんいち)
1977年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学部人文学科フランス文学専攻修了後、会社員、予備校講師を経て文筆活動に移る。
名古屋在住。??

●執筆作
「成熟という檻 『魔法少女まどか☆マギカ』論」(キネマ旬報社/2011年)
「フィジカルな宇宙―H・G・ウェルズ」
2009年度(第5回)日本SF評論賞(日本SF作家クラブ主催/「S-Fマガジン」後援)最終選考作品?
「H・G・ウェルズ―ダーウィニズムの詩学」
2011年度(第54回)群像新人文学賞 評論部門 最終選考作品