「Mバタフライ」のストーリー
1964年、北京。フランス大使館の外交官ルネ・ガリマール(ジェレミー・アイアンズ)は、ある夜会で『蝶々夫人』の公演を見た時、舞台の主演女優ソン・リン(ジョン・ローン)に釘付けとなる。彼女の出演する京劇を見に出かけた彼は、やがてミステリアスな魅力の彼女に恋する。彼にとってソンは″バタフライ″だった。折しも最近の仕事ぶりが評価され、ガリマールは副領事に抜擢され、公私ともに充実した日々が続いた。だが、実はソンは京劇俳優として堕落の罪に問われ、償いとして女に変装して彼に近づき、大使館の情報をスパイしていた男だった。ガリマールに妊娠を告げたソンは、同志チンに赤ん坊の手配を頼む。混血の赤ん坊を抱いたソンの姿を見た時ガリマールは結婚してパリで暮らそうと言うが、彼女は首を横に振り、まもなく近衛兵に連れ去られる。情勢判断のミスで降格され帰国したガリマールは妻(バーバラ・スコヴァ)とも別れ、一人で暮らしていた。1968年のある日、ソンが再び彼の前に現われた。ソンに頼まれ、機密文書を扱う配達員となったガリマールはスパイ容疑で逮補される。護送車の中で本来の男性の姿に戻ったソンはガリマールと向き合い、全裸になって彼に愛を告白する。だが、ガリマールは「私が愛したのはおまえの幻だった」と言う。刑務所のステージで『蝶々夫人』をバックに流して白塗りの化粧を施し、ガリマールは独白しながら自殺した。