「星空の神話」のストーリー

イタリーの保養地のホテルに、親子3人のアメリカ人家族がやってきた。休暇中のキングスバーグ一家だ。バニー(レナート・チェスティ)は海が大好きな11歳の少年だ。幸せそうにみえる家族も実は外見だけで、心はバラバラだった。親が残した財産をうけついだ父親のニコラス(フレデリック・スタフォード)はその金を美術考古学へつぎこみ、ほとんどの時間を旅行と飲酒についやしていた。美しい母親のレア(ジーン・セバーグ)は、そんな夫の生活に我慢がならなかった。この2人の間でバニーはいつもひとりぼっちだった。彼の唯一の楽しみは、彼だけの世界--彼の脳裏をかけめぐる白馬の騎士たちの幻想を見ているときだけだった。一方、ニコラスは、レアとの仲がこじれていくのを感じていたが、愛する妻と子は失いたくはない。そこでレアに置き手紙を残して友人を訪ねたニコラスは、友人のアドバイスでいつしか反省とレアに対する思いやりでいっぱいになり、素直に本当の気持を書いて、再びレアに手紙を出した。ニコラスからの暖かい手紙を読んで心を弾ませたレアは、バニーにニコラスのところに行くから仕度をするようにと言うが、バニーはきっぱり言った。「もうカバンのように引きずりまわされるのはイヤダ!」と。おとなしいバニーが、初めて示した哀しい抵抗だった。家を飛び出した彼は、気がつくと絶壁に立ちすくんでいた。とその時、突然の強風にバランスを失ったバニーは崖下へと転落していった。夫婦が愛のゲームに夢中になっている間にズタズタに傷ついていたバニーのそれが短い人生の終りだった。