「コロンブスの探検」のストーリー

十五世紀も終りに近く、イタリア人コロンブスは大西洋を西へ行けば必ずインドに達すると信じ、この航海を実行するため後援者を求めてスペインへ来た。子供に飲ませる一杯の水を乞うて寺院に立寄った事から、彼はペレス神父の知己を得てスペインの宮廷に紹介された。宮廷では直ちに会議が開かれたが、勢力者ボバディラ等の反対によって結論を得ず、空しく三年の日がすぎた。然しコロンブスの固い決意は変らなかった。宮廷会議はペレス神父の努力で次第に有利な方へ向い、遂に女王はコロンブスの航海を援助する事が決定した。かくて彼はスペイン到着以来実に六年、一四九二年八月三日にサンタ・マリア号以下三隻の帆船で西へ出発した。海は割合に静かだったが、船員ほ不安から暴動を起して、あわや血を見ようとした時、見張員が島を発見したので騒ぎはおさまった。だが翌朝になって、それは雲だったことが分り、コロンブスは止むなく今後三日の内に島が見つからなかったら、スペインへ引き帰す事を約束した。三日目の夜コロンブスは水平線上に微かな明りを見つけた。そして次の日、十月十二日に一行は未知の島に上陸し、ここにサン・サルヴァドルと命名した。更に付近を探検したのち彼はスペインへ凱旋将軍の如き歓迎を受けて帰国した。数カ月たって新大陸の総督に任ぜられたコロンブスは再び大西洋を渡った。かくして年を経るうち、宮廷の空気は彼に不利となり、ボバティラは特使として島へおもむきコロンブスを逮捕してスペインへ連れ帰った。投獄された彼はイサベラの力で敵の手から救われたが、失意のどん底に陥り淋しくこの世を去った。