「ハヌッセン」のストーリー

第1次大戦末期、頭部の負傷で陸軍病院に運び込まれたオーストリア軍曹クラウス・シュナイダー(クラウス・マリア・ブランダウアー)は、催眠療法の医師ベテルハイム(エルランド・ヨセフソン)と出会い、その潜在能力を認められる一方、医師の恋人ベティ女史(イイディコ・バンサジ)と恋におちた。終戦後シュナイダーは、ブダペストの自殺未遂者専用の病棟で従軍中の上司ノボトニー大佐(カロリー・エペルホス)と再会し、彼をマネージャーに、エリック・ヤン・ハヌッセンの芸名で、催眠術師としてステージに立つことになった。千里眼を売り物に一躍有名になったハヌッセンは、しかしカールスバットで詐欺罪で逮捕されてしまう。裁判で自らの能力を証明し勝利したハヌッセンは、逆に名声を高め、やがてベルリンに乗り込み、上流階級の仲間入りを果たす。幼なじみのメーアー(グラジナ・サポロウスカ)の恋人で、ハヌッセンを嫌うベルリン警察のチーフ・ヴォルドバッハ(ジョルジー・チェルハルミ)がステージを妨害するためによこした部下を逆に懲らしめたり、ブルジョワの民主主義者ラディンガーを更生させたりした一連のハヌッセンの行動は、やがて時の支配者ヒトラーから危険人物と見なされてしまう。そしてナチに逮捕され、ヒトラーの勝利のために残忍な政治争いに巻き込まれたハヌッセンは、ナチスによる国会議事堂放火を予言し、やがてベルリン郊外の森で数人の突撃隊員によって射殺されるのだった。