「巨人と青年」のストーリー

ヘンリー・ケスディ(マックス・フォン・シドー)はかつて世界的な名声を得た作曲家だったが、四十年間沈黙を守り、妻のヘレナ(サラ・マイルズ)とともに、デンマークの美しい湖畔で隠遁生活を送っていた。ポーランドの音楽大生のステファン・ブガイスキ(ロテール・ブリュトー)は、夢の中で何度も繰り返し流れる美しい旋律を聴き、採譜して教授に相談した。それはヘンリー・ケスディ作曲の未完成交響曲だと判明した。この曲を未完成のまま終わらせてはならないと考えたステファンは、デンマークへと旅立った。ヘンリーの住む別荘へたどり着いたステファンだったが、ヘンリーは彼に冷たく、ナイフで襲いかかってきたほどだった。しかしヘンリーは不思議な力を持つステファンに持病の背中の痛みを癒してもらったのをきっかけに次第に心を開いていった。そしてヘンリーは作曲活動を再開した。ステファンはヘンリーに頼まれ、音楽秘書を探し始め、音楽学生アネット(ソフィー・グロベル)を見つけた。ヘンリーはアネットを一目見た時から恋に落ち、創作活動に拍車がかかり、アネットとの情熱的な愛におちていった。発表のためのコンサートの準備が進み、ついに交響曲が完成した。アネットが妊娠して自信と幸福に満ち溢れるヘンリーは、自らの作品の演奏を指揮することになった。一方ステファンは、ナイフの古傷が悪化して入院してしまう。コンサートは大成功だった。しかし曲が終わると同時にヘンリーはその場に倒れてしまうのだった。傷心のステファンはポーランドに帰っていく。数年後、教師となったステファンがヘンリーを訪ねた。ヘンリーは痴呆状態で老けこんでいたが、アネットとの子供が生まれていた。赤ん坊は喘息で苦しんでいたが、前にヘンリーの背中の痛みを治した時のようにステファンがそっと触れると、荒い呼吸が治まるのだった。