「七色の街」のストーリー

社会部のかけ出し記者大久保は、バタヤホテルのおやじの先輩から、山田組事件の中心人物山田の令嬢みどりが銀座界隈に潜んでいると聞き、彼女を求めて黄昏迫る並木通りを歩いていた。しかしそこで彼が見いだしたのはかつての恋人町子だった。その頃みどりは酒場ロオトンヌのマダムあさ子の後釜に、パトロン内田の前に進れてゆかれたが、町子の知らせで大久保が駆け出した時には姿を消していた。新橋裏の旅館の一室、ネオンも消えた夜半過ぎ、みどりの居場所を執拗に聞き出そうとする大久保に、酔った町子は仕事と恋愛を割り切る男心の冷たさを感じ、昔の夢を呼び返す術もなく、みどりが彼女のアパートにいる事を告げた。彼が町子のアパートに駆けつけた時はみどりが訪ねて来た学生と出かけた後だった。総てを諦めた町子は二つの贈り物を残して大坂の商人田村の世話になる事になる。一つは大久保が欲しがっていたみどりの日記帳を、その恋人田辺から十万円で買いとって彼に贈った。それによって事件の全貌が分かり彼は大手柄を立てる事が出来た。もう一つは売りに出たロオトンヌを買ってあき子の夢を実現させてやったこと。ロオトンヌ開店祝いの夜、大久保はあき子から町子が大坂に出発する事を聞き東京駅に駆けつけた。走る車窓からじっと銀座の夜景を眺めている町子の前に大久保が現れた。そしていった。「僕も君と大坂に行くよ。今度は僕が君の為に何かする番だから」と。町子は嬉しかった。