「セロ弾きのゴーシュ(1953)」のストーリー

東北の小さな町はずれ、小川の畔の古い水車小屋。これがゴーシュの家である。彼は金星楽団のチェリストで、いつも楽長に叱られてばかりいる。金星楽団は発表会にベートーベンの第六交響曲“田園”を演奏するため、夜は町の映画館で奇術の伴奏をし、昼間はそこで練習していた。この館の山猫支配人は商業政策上、金星楽団を追い出し、替りに卑俗なレヴュウ団を入れたので、楽団一同は馬小屋で練習する。ゴーシュは家に帰ってからも遅く迄必死に練習する。もぐら、リス、猫、郭公子狸等いろいろな動物が訪れて、ゴーシュは激励され、教えられるが、昼間は相変らず楽長に叱られるので気持が砕けそうになる。しかし嵐の夜やって来た鼠母子に彼のチェロは、近所の動物達の身体を温め病気もなおす力のある事を知らされ、元気づけられる。演奏会の日、金星楽団の“田園”は満場の拍手をうける。ゴーシュの上達ぶりに、楽長は彼をアンコールに押しやる。ゴーシュは自作の曲「印度の虎狩り」を弾き、激しい拍手に包まれる。水車小屋に帰ったゴーシュは、今更のように、動物達のことを思い浮べた。