「月よりの使者(1954)」のストーリー

富士見高原療養所に働く美貌の看護婦野々宮道子は、同僚のよう子と共に、暖かい献身的な看護で患者の信頼と愛情を集めていた。退院を間近に控えた患者弘田進は、道子に心を寄せ、結婚の約束を求めた。弘田にかつての婚約者であり、今も愛している弓子がいるのを知った道子は、弓子に同情するが、道子の心の動揺を感付いたよう子は、道子を励まし元気づけた。詩人の橋田も道子を愛しており、またレントゲン料の医師池内も彼女を愛していた。道子は弘田の烈しい愛情にまけて一緒に逃げる約束をしたが、橋田が重態になったので、弘田との約束を果たせず、最後まで橋田につきそっていた。一年後、道子は弘田と結婚した弓子の家へ派出された。弓子は道子の献身的な看護に深い信頼と愛情を寄せたが、道子と弘田が好意を持ち合っているのに気附いた。弓子が多量の睡眠薬をのんで自殺した時、他殺と見た警察の眼は道子と弘田に向けられた。道子と弘田はかばい合い、道子は弘田のために無実の罪を着る決心をしたが、外交官と結婚してワシントンにいる弘田の妹晴子の許に弓子から送られたフランス人形の中に、弓子の遺書が発見され、疑の晴れた道子と弘田は、よう子の計らいで結ばれた。