「高原の駅よさようなら」のストーリー

若い植物研究家野村俊雄は、病の床にある恩師伊福部教授が、自分を娘啓子の婿養子にしたいという願いを振り切って、先輩池島の働く高原療養所に逃避した。俊雄はそこで、看護婦の泉ユキと知り合い、一緒に植物採集に出かけたりしているうちに、二人の間には愛情が芽生えたが、ある日彼は崖から転落し大怪我をした。その時彼を救って呉れたのは、秘かにユキを愛している彼女の幼馴染戸田直吉であった。ユキをめぐる愛情の波乱は、冷静な女医三神梢の知る所となり、梢は俊雄に病院から立去るよう要求した。そこへ俊雄の奇禍を知って啓子が駆けつけ父の病状が悪化したことを告げ、彼に一緒に帰るよう勤めるが、俊雄と啓子の間柄を知ったユキは、絶望して姿をかくしてしまった。俊雄、直吉を始め一同は、ユキを探し求め、救い出すことが出来たがユキの俊雄への慕情は、依然断ち難いものがあった。しかし俊雄の理性は恩師を見捨てることが出来ず、啓子と共に高原を立去って行くのだった。俊雄とユキの間に芽生えた愛は、高原のはかない思い出となってしまった。