「完全なる飼育」のストーリー
ジョギング中に誘拐された女子高校生の樺島邦子が目を覚ましたのは、犯人・岩園貞義が住む安アパートの部屋だった。全裸にされ、手足を縛られていた彼女は、レイプされることを覚悟するが、意外にも岩園は彼女に優しく接してくれた。岩園が邦子を誘拐した理由は、女性「完全なる愛」が欲しかったからだ。絡みで心に深い傷を負った経験を持つ岩園は、心と体が結ばれた完全なセックスを求めて、邦子を監禁飼育すると言う。初めはそんな岩園を罵倒する邦子だったが、次第に岩園の優しさに心を開いていくようになる。ある日、岩園は邦子を連れて温泉に旅行に出かけた。今やふたりの気持ちはすっかり打ち解け合い、宿の従業員にも父娘で通した。ところが、邦子が手錠ごっこと言って岩園の手首に手錠をしたまま、宿を出ていってしまう。「ああ、邦子が心を許してくれたと思っていたのは、実は逃げる機会を窺っていただけだったのか」愕然となる岩園。しかし、邦子は電車には乗らず、宿に戻って来る。アパートに戻ったふたりは、今度は他の住人に対し、自分たちは叔父と姪だといって通した。そして、その頃からふたりは「心と体が結ばれた完全なるセックス」で結ばれるようになっていく。仕事や食事もそこそこに、セックスに溺れていくふたり。斯くして、岩園の飼育は成功したのである。だが、そんな生活も長くは続かなかった。やがて、邦子の両親が公開捜査に乗り出すに至り、邦子は捜査中の刑事によって保護され、岩園も未成年者誘拐の罪などで逮捕されてしまう。警察の取り調べに対し、岩園は罪を素直に認め、自分を死刑か無期懲役にして欲しいと弁護士に頼んだ。しかし、邦子は「あれは誘拐監禁ではなく、楽しい同棲生活だった」と証言するのであった。