「ミスター・ルーキー」のストーリー

200X年、夏。阪神タイガースは、甲子園球場限定の謎の抑えの覆面エース、ミスター・ルーキーの活躍で快進撃を続けていた。ミスター・ルーキーの正体は、大手ビール・メーカーに勤務する32歳のサラリーマン・大原幸嗣。高校時代、甲子園予選の決勝に進出する程の剛腕の持ち主だった彼は、肩を壊してからは野球を離れていたが、マッサージ師で阪神のトレーナーでもある楊との出会いをきっかけに、パートタイム・ピッチャーとして球界入りを果たしたのだ。だが、それを知るのは瀬川監督と楊だけ。今の仕事を捨ててまでプロになる自信の無かった彼は、妻の優子や小学生の息子の俊介にももうひとつの仕事を明かしていない。ある日、幸嗣の会社で新製品ルーキービールのCMモデルに、ミスター・ルーキーの起用案が持ち上がった。しかも、阪神がリーグ優勝すれば全国発売になると言う。交渉役に抜擢された幸嗣は、早速瀬川監督に相談。そんな彼に、瀬川監督はミスター・ルーキーの甲子園球場以外での登板を要求した。果たして、その条件を飲まされ奮闘して見せる幸嗣であったが、やがて二重生活の疲れはピークに達し、登録を抹消されることとなってしまう。仕事と夢の両方を失いかけ、自信喪失の幸嗣。しかし、実は夫がミスター・ルーキーであることに気づいていた優子に励まされた彼は奮起。宿敵・ガリバースとのリーグ優勝を賭けた最終戦に覆面無しで登板すると、見事阪神を優勝に導き、ルーキービールの全国発売も成功させるのであった。