「フーリガン」のストーリー
マット(イライジャ・ウッド)は、ルームメイトにより麻薬売買の罪を着せられ逮捕され、卒業を間近にして放校処分となる。居場所をなくしたマットは、姉のシャノン(クレア・フォーラニ)を頼りロンドンへ逃げる。姉夫婦の自宅に、シャノンの夫の弟ピート(チャーリー・ハナム)が現れる。ピートはサッカー・プレミアリーグ<ウェストハム・ユナイテッド>の筋金入りのサポーターだった。高らかに応援歌を歌うピートとその友人たちに触発され、初めてサッカー観戦をしたマットはたちまち魅了されてしまう。試合後、マットはサポーター同士の悪意に満ちた喧嘩に巻き込まれる。経験したことのない興奮状態のなかで殴られたマットだが、魂の底から湧き上がるような快感を覚えていた。ほどなくして、彼は自らが<ウェストハム>のフーリガン・ファームのメンバーになってしまったことに気付かされた。ファームの名は「グリーン・ストリート・エリート(GSE)」。ピートがそのリーダーだった。ファームの目的はただひとつ―国中でもっとも畏怖される集団となること、そのためには手段は選ばない。GSEにとっての最大のライバルは<ミルウォール>のファームだった。彼らのリーダーは、その残忍さで知られるトミー(ジェフ・ベル)。10年前にGSEとの抗争で息子を亡くしていた。当時のGSEリーダーがファームを辞めて以来両グループは闘いのチャンスを狙っているのだった。マットはファームのあり方に抵抗を感じつつも、GSEのメンバー間に存在する、まるで兄弟同士のような友情に魅せられていく。マットは腕っ節の強さに誇りをもち、グループへの帰属意識と忠誠心を高め、アドレナリンの高まりに快感を覚えていくようになっていく。