「ペンダントイヴ」のストーリー

原っぱに、色とりどりの衣装を身にまとった少女たちが集う。彼女たちは泣き、叫び、笑い、暴れながら、遠い記憶と渦巻く感情を喚起する。キラキラとした無垢な情熱と、その先に待つ闇をすべて受けとめて、少女たちは痛みや苦しみの先に生まれる愛おしさを信じ、疲れ果てるまで踊り続ける。本作は、舞台『ペンダントイヴ』の2007年3月29日、東京・世田谷パブリックシアターで行われた公演を、7台のハイビジョンカメラで収録した。ダンサー兼振付家の黒田育世は6歳でクラシックバレエを始め、谷桃子バレエ団に所属しながら1997年にロンドン・ラバンセンターに留学した。そこでコンテンポラリーダンスと出会い、2000年より“伊藤キム+輝く未来”でダンサーとして活動を始める。そして2002年、BATIKを設立し、2003年にはトヨタコレオグラフィーアワードにてグランプリとオーディエンス賞をダブル受賞する。2004年には『SHOKU』『花は流れて時は固まる』を発表し、海外でも成功を収める。2005年朝日舞台芸術賞では、舞台芸術賞とキリンダンスサポートをダブル受賞し、2007年ベネチア・ビエンナーレのダンス部門に招聘された。BATIKは一貫して、少女の危ういエロスをモチーフにした衝撃的な作品を世に送り出しているが、2007年に発表した『ペンダントイヴ』は特にエモーショナルな作品であり、その高い物語性と、身体を極限まで消耗し踊り果てる激しさで、観客を魅了してやまない。名カメラマン・山崎裕が撮影監督を務め、舞台収録としては異例となる手持ちカメラも駆使し、エロティックでエモーショナルなカメラワークを実現している。出演者の繊細な動きや表情もとらえ、舞台とは違った視点で、BATIKの魅力を余すところなく伝える。